田中良和国際法律事務所

【徹底解説】カリフォルニアで逮捕されたら?刑事訴訟の流れと弁護士の交渉力の重要性

カリフォルニアで刑事事件に巻き込まれた場合、逮捕から訴訟終結までのプロセスを正しく理解することが重要です。カリフォルニアの刑事手続の流れ、司法取引(プリー・バーゲン)の割合、そして弁護士の検事・被害者との交渉戦略の重要性を解説します。

① 逮捕(Arrest)
警察が「相当な理由(Probable Cause)」に基づき逮捕。
ミランダ警告(黙秘権や弁護士に依頼する権利の告知)は、身体拘束下での取調べ前に義務付けられています。警告が適切に行われない場合、自白が証拠として排除される可能性があります。
弁護士は早期に保釈金交渉や誤認逮捕の主張を行います。

② 起訴(Filing Charges)
検事が正式起訴を決定。カリフォルニアでは軽犯罪(Misdemeanor)と重罪(Felony)で手続が異なります。

③ 初期審問(Arraignment)
被告人が罪状認否を回答。この段階で弁護士が司法取引の下交渉を開始するケースが増加しています。

④ 予備審問(Preliminary Hearing)
証拠の合理性を審査。検事側の証拠に弱点があれば、ここで罪名軽減交渉の材料にします。

公判(Trial)
陪審員審理か裁判官審理を選択。ただしほとんどの事件は司法取引で終了し、実際に公判まで進む案件は10%未満と言われています。

⑥ 判決・上訴(Sentencing & Appeal)
有罪判決の場合、量刑判断後に上訴が可能です。

ミランダ警告とは?
アメリカ合衆国憲法修正第5条に基づき、被疑者に以下の権利を告知する手続きです:

黙秘権: 供述内容が法廷で不利に使用される可能性

弁護士の立会いを求める権利

経済力不足時の公選弁護人付与

ミランダ警告は逮捕時ではなく、拘束下での取調べ前に実施されます。警察官が警告を怠った場合、自白が証拠として無効となる可能性があります。

実際には90%以上の被疑者が黙秘権を放棄し、弁護士なしで取調べに応じる傾向があります。しかし、弁護士の早期介入により、不必要な自白を防ぎ、司法取引の交渉材料を確保できます。

検察がミランダ警告を怠った場合、弁護士は自白の証拠排除を請求できます。2022年のカリフォルニア州控訴裁判例では、警告不履行を理由に23%の自白証拠が排除され、そのうち78%で起訴取り下げや軽微な司法取引が成立しました。

警告違反を主張するには、逮捕時の状況の詳細な記録(警察のボディカメラ映像や目撃者証言)が不可欠です。弁護士はこれらを分析し、違法性を立証します。

カリフォルニア州司法省(2022年報告書)によると、全刑事事件の92-95%が司法取引で終結しています。

検事は「有罪確実性」と「司法コスト削減」を優先するため、早期に有利な条件を提示する弁護士が被告人に有利な結果をもたらします。

検事との交渉
事実関係を徹底的に調査し、証拠の弱点を徹底して分析
→検事や警察より高い精度で弁護士が事件の詳細を分析し、弁護士から検事に対して被告人に有利な情報を提供することで交渉を有利に進める
類似案例の判例データベースを活用

被害者との示談交渉
検事は被害者の意向を重視するため、損害賠償金の支払いなど、示談成立が刑罰軽減に直結します。

カリフォルニア刑事事件では、逮捕後48時間以内の弁護士介入が保釈成功率を43%向上させるとのデータがあります(CA Defense Bar調べ)。初期段階で、経験豊富な弁護士に相談することが最も重要です。


カリフォルニア拠点(サンフランシスコ・ベイエリア・ロサンゼルス)
カリフォルニア弁護士・日本弁護士
田中良和

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