田中良和国際法律事務所

【緊急解説】トランプ政権下で永住権保持者が海外渡航する際のリスクと対策

トランプ政権は2025年1月の再就任後、以下の政策を推進しています:
• 合法移民ルートの厳格化:ビザ審査の強化(H-1Bや家族ビザの制限)
• 「米国第一」原則に基づく審査基準:滞在目的や「米国社会への貢献度」の重視
• 国境警備の強化:CBP(税関・国境警備局)職員の権限拡大と監視技術の高度化
特に注目すべきは、「一時出国中の永住権保持者」を「居住意思がない」と判断する傾向が強まっている点です。
2025年3月には、中南米出身者53万人の合法滞在資格取消が発表され、同政権が「形式的な資格」ではなく「実質的な居住」を求める姿勢を明確にしました。

■ ケース1:長期不在による「居住権放棄」とみなされた事例
メキシコ在住の永住権保持者が2年間米国に帰国せず、2025年2月にロサンゼルス空港で入国審査を受けた際、「米国での生活基盤(仕事・住居・家族関係)が不十分」と判断され、グリーンカード没収の上で入国拒否されました。

■ ケース2:政治情勢を理由とした再審査
ベネズエラ出身の永住権保持者が母国訪問後に帰国した際、トランプ政権が同国を「暫定保護資格(TPS)対象外」に指定したことを理由に、追加審査を要求される事案が増加。

■ ケース3:SNS発言が「忠誠心」審査の材料に
反トランプ的な政治的主張をSNSで繰り返した永住権保持者が、「米国への忠誠心に疑問」とされ、入国時に詳細な事情聴取を受けた事例あり。

(1) 「再入国許可証(Re-entry Permit)」の取得必須化
• 1年以上の海外滞在を計画する場合、出国前の申請が必須(通常は2年間有効)
• 2025年以降、審査期間が従来の3ヶ月から6ヶ月に延長されているため早期準備が必要

(2) 米国との「継続的つながり」の証明書類を準備

• 米国内の住所証明(賃貸契約・公共料金請求書)
• 米国企業での雇用証明や納税記録
• 家族関係(配偶者/子の在米状況)の公的文書

(3) 渡航期間の目安:6ヶ月ルールの厳守
• 6ヶ月を超える不在は「居住放棄の推定」の対象
• やむを得ない事情がある場合は、CBPに事前通知(Advance Parole)を検討

(4) 政治的中立性の維持
• SNSや公共の場での政治的主張が「忠誠心審査」に影響する可能性
• 渡航前には投稿内容を再確認

(5) 最新政策に即した弁護士相談の重要性
• トランプ政権は「外国人・治安諸法(1798年戦時法)」を適用し、迅速な強制送還を可能にする方針
• 複雑化する法解釈に対応するため、移民法に詳しい弁護士との定期的な情報共有が不可欠

・I-407(居住権放棄届)の署名拒否:署名すると異議申立て権を失う

・移民裁判での争い:「居住意思」を証明する書類を即座に提出

・仮釈放(Parole)の申請:人道理由や家族関係を根拠に暫定入国を請求

トランプ政権下では、「永住権=無条件の入国権」ではないという認識が不可欠です。渡航前の法的準備と「居住継続意思」の積極的な立証が、帰国不能リスクを回避する最善策です
(※本記事は2025年4月6日時点の情報に基づきます。情勢は刻一刻と変化するので、最新の情報をご確認ください)

カリフォルニア拠点(サンフランシスコ・ベイエリア・ロサンゼルス)
カリフォルニア弁護士・日本弁護士
田中良和

 

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