田中良和国際法律事務所

【2025年改正】カリフォルニア州 子ども扶養費ガイドラインの重要ポイント

2025年に入り、カリフォルニア州の子ども扶養費(Child Support)に関するガイドラインが大幅に見直されました。具体的な改正法案(SB343, SB1055など)や、実務上の注意点を補足しています。

離婚や別居した親が、子どもの生活に必要な費用(食費・住居費・医療・教育など)を分担する制度です。
扶養義務のある親が、一定の計算式に基づいて毎月支払います。


これまで使われてきた「標準ガイドライン計算式(Guideline Formula)」のうち、収入配分に関わる「Kファクター」の定義が修正されました。
主な変更点は:

  • 高収入世帯(例:月収2万ドル以上)における支払額の上限設定の明文化
  • 再婚家庭での収入分離(step-parent income)の影響を排除

これにより、実務上は高所得者に対して支払額が増える傾向が見られますが、家庭裁判所の裁量でDeviation Order(逸脱命令)が認められる余地も残されています。

これまで保育費等は原則「50/50の均等負担」とされていましたが、2025年改正では、可処分所得に応じた比例配分方式が導入されました。

例:お母さんの収入が全体の70%、お父さんが30%なら、保育費も7:3で分担。

また、教育目的・職業訓練目的の保育費については推定的な合理性が認められることになりました。

SB343(2023年成立、2025年施行)により、最低賃金程度(月収約2,800ドル以下)の保護者に対して、以下の変更が導入されました:

  • 最低支払額の設定(presumed minimum support)
  • 税引後収入に基づく再計算義務
  • 申告義務の軽減措置

従来の固定的な計算から、より現実的な生活水準を考慮した制度設計へと進化しています。

SB1055 により、刑務所に収監中の親の支払義務は、自動的に服役開始〜釈放後10ヶ月まで猶予されることが明文化されました。これにより:

  • 服役中の未払いによる債務累積の防止
  • 釈放後の経済的更生への支援

これまでは支払を怠ると自動的に運転免許が停止されていましたが、2025年改正では:

  • 州の中央値所得の70%未満の保護者については、免許停止を回避する例外条項が認められました。

SB343では、親の収入・生活状況の変化に応じて年1回以上の定期見直しを裁判所や州機関(LCSA)に義務づけました。
これにより「一度決まった支払額が何年もそのまま」という状況が是正されます。

2025年以降、カリフォルニア州の家庭裁判所では、DissoMasterは公式に非推奨となり、新たに「Family Law Software」等が認定されました。弁護士・調停人・当事者間での共通理解のため、ソフトウェアのアップデート確認は必須です。


📝 実務対応アドバイス

  • 見直し申立て(Modification Request)をしたい場合は、直近の収入証明・保育費領収書などを整理しておきましょう。
  • 収監・失職・再婚など大きな生活変化がある場合は、早めにLCSAまたは家庭裁判所に連絡を。
  • ソフトウェアに基づく試算を行い、相手方との交渉にも活用できます。

📌 まとめ

今回の2025年改正では、子ども扶養費制度がより柔軟に、そして公平になることを目指した調整が行われました。
親の経済状況や生活環境の変化に応じて、制度の恩恵を受けやすくなった一方、継続的な情報アップデートや法的判断が重要になります。

不明点や具体的な対応については、家庭法に詳しい弁護士への相談をおすすめします。


【免責事項】

本記事は2025年7月時点の法令・公開情報に基づき、一般的な法的知識を解説したものであり、特定の事案に対する法律相談または法的助言を構成するものではありません。
具体的なご事情に応じた対応については、必ず弁護士等の有資格専門家にご相談ください。
また、法令や裁判所の運用は予告なく変更される可能性がありますので、最新情報のご確認をお願いします。

カリフォルニア拠点(サンフランシスコ、ベイエリア、ロサンゼルス)
カリフォルニア州弁護士・日本弁護士
田中良和

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