米国移民税関執行局(ICE)による留学生ビザの取り消し事例が、2025年4月以降も引き続き報告されています。本記事では、実際の事例とともに、F-1ビザ保持者が取るべき対応を、カリフォルニア州弁護士の立場から解説します。
ICEの役割と監視対象となるビザ
ICEは、以下の非移民ビザカテゴリーに該当する留学生・交流訪問者の在留状況を監視しています。
- F-1ビザ: 学術留学生
- M-1ビザ: 職業訓練留学生
- J-1ビザ: 交流訪問者
これらの情報は、SEVIS(Student and Exchange Visitor Information System)という政府のデータベースにより一元的に管理・監視されています。
✅【2025年4月以降】実際に発生したビザ取り消し事例
事例1:オンライン授業規定違反(サンノゼ)
サンノゼの大学に在籍していた韓国人F-1学生が、健康上の理由によりオンライン授業のみを履修していたところ、SEVPで定められた最低対面授業要件(全体の70%以上)を満たしていないとして、ビザが取り消されました。
事例2:偽装大学関与によるビザ無効(ロサンゼルス)
ロサンゼルス近郊の教育機関が、授業提供を行わない「ビザ発給目的の機関」として摘発されました。SEVPの認可取り消しに伴い、在籍していた留学生約50名がF-1ステータスを失い、30日以内の出国指示を受けました。
事例3:アプリ副業による無許可就労(サンフランシスコ)
インド人の大学院生が、配達アプリで報酬を得ていたことが発覚。CPT認可を受けていたものの、雇用主の範囲外の就労と判断され、F-1ステータスが即時終了しました。
事例4:SNS投稿からの不適格発覚(サンディエゴ)
語学学校のブラジル人学生が、SNSに旅行や観光の投稿をしていたことがICEに監視され、出席記録との不一致から在留目的逸脱と判断され、ビザ取消処分を受けました。
F-1留学生が取るべき4つの対応
- 最新の法令・規定を確認
オンライン授業や就労に関する規則は定期的に改定されるため、DSO(指定学校職員)との連携が重要です。 - 就労活動は事前に許可を得る
CPTやOPT以外での就労、特にアプリ副業(Uber, Doordash等)は原則違法です。許可がない副業はリスクが高いため要注意です。 - SNS投稿に注意
ICEは公的にSNS監視を行っています。学業との整合性が取れない投稿は、調査のきっかけになりえます。 - 信頼できる認可校を選ぶ
SEVP認定に加え、授業の実態がある学校を選ぶことがビザ維持に不可欠です。
まとめ
2025年以降、ICEの監視体制はリアルタイムかつAIによる自動分析が進んでいます。「知らなかった」では通用せず、小さな違反が重大なビザ(ビザステータス)取消につながるリスクがあります。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的アドバイスではありません。必ず弁護士にご相談ください。
カリフォルニア拠点(サンフランシスコ、ベイエリア、ロサンゼルス)
カリフォルニア弁護士・日本弁護士
田中良和