離婚や別居の場面で、よくご相談を受けるのが次のようなケースです。
- 婚姻中、夫はほとんど育児に関与していなかった
- 子どもは夫になついていない
- 夫はこれまで育児をしてこなかったにもかかわらず、突然「週に2日〜3日一緒に過ごしたい」と主張している
このような場合、カリフォルニア州の裁判所はどのように判断するのでしょうか。
カリフォルニア州の基本原則:子どもの最善の利益(Best Interest of the Child)
カリフォルニアでは、子どもの監護権(Custody)およびVisitation(面会交流)は、**「子どもの最善の利益」**を基準に判断されます。
裁判所は両親の意見を聞きますが、最終的な判断は裁判所が独立して行います。
監護権には大きく分けて以下の2種類があります。
- 法的監護権(Legal Custody):教育・医療など重要事項の決定権
- 身体的監護権(Physical Custody):子どもが実際にどこで生活するか
Visitationは、主に身体的監護権に関連する「子どもと過ごす時間」のことを指します。
これまで育児をしていなかった夫でも、監護権やVisitationは認められるのか?
結論から言うと、認められる可能性は十分にあります。
たとえこれまで育児に積極的に参加していなかったとしても、
- 今後、子どもとの関係を築いていきたい
- 親として関与する意思がある
と主張した場合、裁判所はその意思を重視します。
カリフォルニア州では、特別な事情(例えばDomestic Violence、虐待、深刻な薬物問題など)がない限り、
子どもが両親の双方と関係を維持し、発展させていくことが望ましい
という価値観が強くあります。
そのため、いきなり大幅な時間配分になるかどうかはケースによりますが、一定のVisitationが認められることは珍しくありません。
子どもが父親になついていない場合はどうなるか?
「子どもが父親を怖がっている」「なついていない」という事情は、裁判所にとって重要な要素です。
しかし、
- 単に関係が希薄である
- これまで一緒に過ごす時間が少なかった
というだけでは、直ちにVisitationが否定されるわけではありません。
裁判所はしばしば、
- 段階的な面会(徐々に時間を増やす)
- 監督付き面会(Supervised Visitation)
などを検討し、子どもの心理的安定を図りながら関係を築く方法を模索します。
日本との考え方の違い
日本では、離婚後は主に一方の親(特に母親)と生活し、他方の親は大きく関与しないというケースが少なくありません。
しかしカリフォルニアでは、
- 両親双方が子どもの人生に関与することが原則
- 片方の親を排除する方向には原則として進まない
という考え方が基本です。
この価値観の違いを理解していないと、裁判所のオーダーに驚くことがあります。
実務上のポイント
- 「これまで育児をしてこなかった」という事実だけでは、監護権を完全に排除するのは難しい
- ただし、DVや虐待がある場合は大きく事情が変わる
- 子どもの年齢や心理状態も重要
- 段階的なスケジュールが採用されることも多い
監護権の判断は非常に個別具体的です。
まとめ
カリフォルニア州では、たとえこれまで育児に消極的だった親であっても、将来的に関与する意思がある限り、一定の法的監護権やVisitationが認められる可能性があります。
重要なのは、親の過去の行動だけではなく、子どもの最善の利益が何かという点です。
日米の価値観の違いを理解し、戦略を立てることが重要になります。
カリフォルニア拠点(サンフランシスコ、ベイエリア、ロサンゼルス)
カリフォルニア州弁護士・日本弁護士
田中良和
