田中良和国際法律事務所

どのような人が婚前契約を締結する?

「婚前契約(Prenuptial Agreement)」と聞くと、映画やドラマの中の話のように思われるかもしれません。しかし、実際にはカリフォルニア州をはじめ多くの州で、ごく一般的に使われている法的契約です。特に、結婚前に財産や責任の整理をしておくことで、万が一のときにトラブルを避けるための有効な手段となります。

  • 1. 結婚前に多額の資産を保有している人
    自分または相手が結婚前から不動産、株式、貯金などの多額の資産を持っている場合、婚前契約によってそれらの資産を「別財産」として保護できます。
  • 2. 家業や事業を営んでいる人
    家族経営のビジネスやスタートアップ企業を経営している場合、離婚時にその権益が分割対象とならないよう、あらかじめ取り決めておくことが重要です。
  • 3. 子どもがいる再婚予定の人
    前の結婚でできた子どもがいる場合、子どもたちへの相続を確保するために婚前契約が役立つことがあります。
  • 4. 相手に多額の負債がある人
    婚前契約により、結婚後に相手の負債の返済義務を負わないことを明確にできます。
  • 5. 国際結婚をする人
    日本など異なる法体系を持つ国の出身者と結婚する場合、万が一の際にどの法律が適用されるかを明記することができます。

婚前契約では、財産分与、相続、扶養、債務の扱いなどを明確に取り決めることが可能です。ただし、子どもの養育費や親権に関する取り決めは、裁判所の最終判断に委ねられるため、契約によって確定することはできません。

婚前契約は、「お金持ち」や「有名人」だけのものではありません。むしろ、様々な立場の人にとって、結婚前に将来のリスクに備えるための有効なツールとなり得ます。


【免責事項】本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の事案についての法律相談ではありません。具体的なご相談については、カリフォルニア州における弁護士に直接ご相談ください。

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田中良和

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