カリフォルニア州で病気になったり、ケガをした場合、緊急で病院にいかなければならないことがあります。
旅行中のこともありますし、出張中のこともありますし、カリフォルニア州に住んでいることもあります。
緊急で病気になったり、ケガをした場合、お金がかかるからといって、病院に行かないという選択はなかなかできません。
ただ、カリフォルニア州の病院の請求額は高額になることが多く、また、請求の内容や方法も複雑です。
カリフォルニア州の病院の請求について、解説します。
緊急で病院に行くと「30万ドル」「100万ドル」請求されることも
カリフォルニアなどアメリカで生活していると、誰もが一度は耳にするのが「病院に行ったら高額請求された」という話です。実際、救急搬送や入院を伴う治療になると、30万ドル(約4,500万円)や100万ドル(約1億5,000万円)といった請求額も珍しくありません。実際に私もそのような請求を受けた方から、相談を受けることがあります。
病院・医師・救急車は「別々の請求」
アメリカの医療制度の特徴は、病院・医師・救急車(ambulance)・検査機関などがそれぞれ独立した事業者であることです。
そのため、同じ1回の治療でも以下のように複数の請求が届くのが一般的です。
- 病院(Hospital):入院室料、手術室使用料、医療機器利用料など
- 医師(Physician):診療・手術・麻酔など専門医のサービス料
- 救急車(Ambulance):救急搬送費(数千ドル〜数万ドル)
- 検査会社(Lab/Imaging Center):血液検査やCT・MRIなどの検査費用
たとえば、交通事故で救急搬送された場合、病院・医師・救急車・検査機関からそれぞれ別の請求書が届き、合計額が数十万ドルになることもあります。
保険があっても安心できない理由
医療保険(Health Insurance)に加入していても、「ネットワーク外(out-of-network)」の病院や医師にかかった場合は保険が適用されず、全額自己負担となるケースがあります。
また、保険会社が一部しか支払わない「バランス・ビリング(balance billing)」の問題もあります。
緊急時の対策と注意点
- 保険カードを常に携帯する
- 搬送先の病院が保険ネットワーク内か確認する(可能なら)
- 請求書は必ず内容を確認し、過誤請求があれば異議申し立てを行う
- 高額請求が届いたら、すぐに交渉・減額申請を検討する
アメリカの医療費は日本とは全く異なる仕組みで動いています。
カリフォルニア在住の日本人の方も、緊急時に備えて保険内容と医療制度の仕組みを理解しておくことが大切です。
免責事項(Disclaimer)
本記事は一般的な情報提供を目的としており、法律上または医療上の助言を行うものではありません。
具体的な事案については、必ず専門の弁護士・医療専門家にご相談ください。
筆者は、本記事に基づく行動または判断に対して一切の責任を負いません。
カリフォルニア拠点(サンフランシスコ、ベイエリア、ロサンゼルス)
カリフォルニア州弁護士・日本弁護士
田中良和
