カリフォルニアは世界的なスタートアップの拠点として知られ、多くの起業家がビジネスを始めるために訪れます。しかし、会社設立には法律上・税務上の手続が必要であり、特に外国人の起業家はビザの制約にも注意が必要です。
この記事では、カリフォルニアで会社を設立する具体的な手順、Bビザを活用した事前準備の方法、最小限のコストで始めるスモールスタートの戦略を詳しく解説します。
1.会社設立前の準備段階:Bビザを活用した市場調査
Bビザ(B-1ビザまたはESTA)で可能な活動
商談・契約締結
市場調査
投資家・パートナーとのミーティング
オフィスや倉庫の下見
⚠️ Bビザで禁止されていること
米国での収入を得ること(給与・事業収入とも不可)
実際の事業運営(就労ビザが必要)
繰り返し米国に渡航する場合、ESTAで90日以内の渡航を繰り返すよりも、Bビザを取得する方が望ましい
→ Bビザで事前に調査・準備をした後、正式な会社設立を検討
2.会社設立の手順(LLCまたはCorporation)
Step 1:事業形態の選択
LLCか C Corporationを選択
Step 2:会社名の決定&登録
California Secretary of State(www.sos.ca.gov)で名前の空き状況確認
LLCの場合:「Articles of Organization」を提出
Corporationの場合:「Articles of Incorporation」を提出
Step 3:送達代理人(Registered Agent)の指定
法的な書類を受け取るための代理人が必要
送達代理人はカリフォルニア在住が条件(自分自身でも可能)
スモールスタートのために、カリフォルニアの送達代理人の業者を利用することも可能
Step 4:事業用住所の確保
スモールスタートのために、実際にオフィスを借りなくても、住所を提供している業者を利用することも可能
自宅住所でも可
PO Box(私書箱)のみでは不可(物理住所が必要)
Step 5:EIN(Employer Identification Number)の取得
IRS(www.irs.gov)から無料でオンライン申請
銀行口座開設や税務申告に必須
Step 6:ビジネスバンクアカウントの開設
EIN取得後、銀行で口座開設
(弊事務所にご相談いただければアカウントを開設できる銀行を紹介いたします)
Step 7:必要な事業許可・ライセンスの確認
業種によって追加許可が必要(飲食・不動産・医療など)
CalGold(www.calgold.ca.gov)で許認可の要否を確認
Step 8:年次報告書(Statement of Information)の提出
LLC:設立後90日以内、その後2年ごと
Corporation:設立後90日以内、その後毎年
3.会社設立後の必須事項
(1)税務申告
連邦税(IRS)+カリフォルニア州税(FTB)
年間Franchise Tax($800)(収益がなくても必須)
(2)ビザのアップデート(本格的な事業開始時)
E-2ビザ(投資家ビザ)
L-1ビザ(海外支社からの転勤)
O-1ビザ(卓越した能力を持つ起業家)
4.まとめ:最小限のコストでカリフォルニア起業を成功させるには
Bビザで市場調査→収益化はせず、ビジネスの可能性を検証
会社設立→ EIN取得→ 銀行口座開設
仮想オフィス、送達代理人サービス利用でコスト削減
必要に応じて就労ビザを取得し、本格展開
カリフォルニア拠点(サンフランシスコ、ベイエリア、ロサンゼルス)
カリフォルニア弁護士・日本弁護士
田中良和