はじめに
カリフォルニア州でDUI(飲酒運転)により逮捕された場合、運転再開のための選択肢の一つが「イグニッション・インターロック・デバイス(IID)」です。IIDは車両に取り付けるアルコール検知装置で、運転前に息を吹きかけてアルコール濃度を測定し、基準値を超えるとエンジンが始動しません。ただし、IIDを設置すれば即座に運転できるわけではない点に注意が必要です。
IIDとは
IIDは携帯電話程度の大きさで、車のイグニッションシステムに接続されます。運転前だけでなく、走行中にも定期的に息を吹きかける「ローリングテスト」が求められます。
効果
国際アルコール・薬物・交通安全協議会によると、IIDを監視プログラムと併用することで、再犯率は40〜95%減少すると報告されています。
カリフォルニア州でのDUI後の運転許可までの流れ
IIDを設置しても、以下の条件を満たさない限り運転はできません。
- 必要書類の提出
DMVへIID設置確認書(DL 920)と、DUIプログラム修了証明書(DL 107またはDL 101)を提出 - 停止期間の満了
法定免許停止期間の経過、または取消処分の解除 - その他要件
- 承認済み業者によるIID設置
- DUIプログラムの登録または修了
- SR-22保険の加入
初回DUI違反時の選択肢
初回のDUI(負傷なし)の場合、次のいずれかを選択できます。
- 6か月間のIID設置で通常運転を許可
- 1年間の制限付き免許(通勤・治療通院のみ)
DMVの行政処分
DMV聴聞会で不利な結果となった場合、初回DUIは原則4か月間の免許停止となります。ただし、IIDを設置すれば通常運転を継続できる場合があります。
IID制限の詳細
- 設置期間: 初回有罪判決で最大6か月(事故・負傷ありの場合は延長の可能性あり)
- 適用期間: 2019年1月1日〜2025年12月31日に発生したアルコール関連DUIが対象
即座に運転できない主な理由
- DMVによる書類審査時間
- 停止期間の法的義務
- DUI教育プログラムの登録または修了
- SR-22保険加入の確認
違反時のリスク
IIDの改ざんや不正操作は、最大6か月の懲役刑や免許停止延長の可能性があります。
まとめ
IIDはDUI後の運転復帰に有効な手段ですが、設置すれば即運転できるわけではなく、法的手続き・必要書類・義務期間をすべてクリアする必要があります。DUI後は必ず弁護士に相談し、自分の状況に最も適した対応策を選択してください。
本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な事案については、必ず資格を持つ弁護士にご相談ください。
カリフォルニア拠点(サンフランシスコ、ベイエリア、ロサンゼルス)
カリフォルニア州弁護士・日本弁護士
田中良和