田中良和国際法律事務所

カリフォルニア州で会社を設立するには?LLCとCorporationの違いと選び方・CorportionからLLCへの転換方法

カリフォルニアでビジネスを始めるにあたり、最初に直面する重要な判断の一つが「会社形態の選択」です。この選択は、税務、法的責任、経営の柔軟性、そして将来的な成長計画に直結します。

カリフォルニア州で一般的な二つの会社形態「LLC(有限責任会社)」と「Corporation(株式会社)」について、メリット・デメリットの比較、そしてLLCからCorporationへの切り替え手続まで、解説します。

目次

  1. LLCとCorporationの基本的な違い
  2. LLCのメリット・デメリット
  3. Corporationのメリット・デメリット
  4. どちらが自分のビジネスに適しているか?
  5. LLCからCorporationへの切り替え方法
  6. S Corporationとは?
  7. よくある質問(FAQ)
  8. まとめ
比較項目LLCCorporation
法的地位独立した法人格独立した法人格
所有者メンバー株主
課税形態パススルー課税二重課税
管理体制柔軟形式的
書類要件簡素厳格

メリット

  • 有限責任:個人資産は保護される
  • パススルー課税で法人税が不要
  • 取締役会不要で管理が柔軟
  • 利益配分も契約で自由に決定可能
  • 設立・維持コストが比較的低い

デメリット

  • VCからの出資を受けにくい
  • 株式オプションが使いにくい
  • 自己雇用税がかかる場合がある

メリット

  • 有限責任と法的保護が強い
  • 株式発行により資金調達がしやすい
  • 株式移転が簡単
  • 会社の永続性が高い
  • 法人税と配当の二重課税
  • 設立や運営コストが高い
  • 取締役会や定期報告の義務がある
  • 経営の自由度が低い
  • 情報公開義務が広い
条件推奨形態
少人数で起業LLC
柔軟な利益配分を希望LLC
投資・IPOを視野に入れているCorporation
株式オプションを活用したいCorporation
他州・海外への展開Corporation

方法1:法定転換(Statutory Conversion)

  1. LLCメンバーによる承認
  2. 転換計画(Conversion Plan)の作成
  3. 「Certificate of Conversion」の提出
  4. 「Articles of Incorporation」の提出
  5. 社内規程・定款の作成
  6. 新たなEINの取得または更新
  7. 銀行口座・契約等の更新

方法2:資産移転(Asset Transfer)

新Corporationを設立してLLCから資産を移す方法。税金や手間が増すため慎重に検討を。

方法3:定款変更

※カリフォルニア州では不可

S Corporationは課税上の選択であり、LLCまたはCorporationがIRSに届け出を行うことで選択可能です。

特徴

  • 法人税を回避できるパススルー課税
  • 自己雇用税を節税できる可能性
  • 株主数・居住地などに制限あり

LLMからCorportionへの転換において

Q1:EINは引き継げる?
→ 法定転換であれば可能な場合が多い。

Q2:事業は継続できる?
→ 可能。特に法定転換では中断なし。

Q3:契約関係に影響は?
→ 通常は自動引継ぎだが、要確認。

Q4:いつ変更するべき?
→ 会計年度末のタイミングが手間が少ないが、原則いつでも可能。

LLCとCorporationの選択は、ビジネスの成長性や投資計画によって選択が異なります。

まずは小規模・柔軟な経営を優先するならLLC。資金調達や成長を視野に入れるならCorporation。

また、必要に応じて後から形態変更も可能です。事前に専門家への相談をお勧めします。


※本記事は情報提供を目的としており、法律上の助言ではありません。正確な対応は弁護士にご相談ください。

カリフォルニア拠点(サンフランシスコ、ベイエリア、ロサンゼルス)
カリフォルニア弁護士・日本弁護士
田中良和

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