リーガル・セパレーション(法的別居)は、カリフォルニア州で利用できる婚姻関係に関する法的手続の一つです。これは日本の民法には存在しない制度ですが、離婚以外の選択肢を検討しているカップルにとって、重要な法的手段となり得ます。
リーガル・セパレーションとは何か?
リーガル・セパレーションとは、夫婦が 婚姻関係を解消することなく、財産分与・扶養・子の監護などに関する法的決定を得ることができる制度です。
📌 ポイント:別居しつつも、法律上は結婚したままの状態が続きます。
リーガル・セパレーションを選ぶ主な理由
- 宗教的または個人的信条:離婚に対する信仰や価値観
- 健康保険の維持:配偶者の雇用保険を使い続けたい場合
- 社会保障給付の資格:10年の婚姻期間維持が必要なケース
- 将来の和解の可能性:復縁の余地を残したい
- 移民関連の問題:ビザ・永住権申請に影響があるとき
リーガル・セパレーションと離婚の違い
項目 | リーガル・セパレーション | 離婚 |
---|---|---|
婚姻関係 | 継続 | 終了(独身) |
再婚 | ❌ できない | ✅ できる |
財産・扶養などの判断 | ✅ あり | ✅ あり |
カリフォルニア州でのリーガル・セパレーションの手続
- 申立書の提出:住んでいるカウンティの上級裁判所へ提出
- 配偶者への送達:法的に通知(サーブ)する必要あり
- 応答(レスポンス):相手からの正式な返答
- 仮命令や合意:扶養や親権に関する暫定措置
- 最終判決:裁判所の判断により法的別居が確定
🕑 離婚とは異なり、6か月の州内居住は不要!
財産・扶養の扱い(コミュニティ・プロパティ)
カリフォルニアは「コミュニティ・プロパティ」州。婚姻中に得た財産や負債は原則として 50/50 に分割されます。
対象になる項目は以下のとおり:
- 👶 子の親権と訪問権
- 💵 養育費(チャイルドサポート)
- 🧑🤝🧑 配偶者扶養料(アリモニー)
- 🏠 財産と負債の分割
リーガル・セパレーションから離婚へ移行するには?
一度リーガル・セパレーションが確定しても、離婚を希望する場合は 別途、離婚申立てを新たに行う必要があります。自動的に離婚に切り替わることはありません。
まとめ
リーガル・セパレーションは、以下のような状況で有効な選択肢です:
- 宗教的理由で離婚を避けたい
- 健康保険を維持したい
- 将来の和解を視野に入れたい
- 移民・ビザの問題を抱えている
具体的な判断には、カリフォルニア州の家族法に詳しい弁護士への相談が不可欠です。
⚠️ 免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言ではありません。具体的な法的問題については、必ず資格を有する弁護士にご相談ください。
カリフォルニア拠点(サンフランシスコ、ベイエリア、ロサンゼルス)
カリフォルニア弁護士・日本弁護士
田中良和