田中良和国際法律事務所

カリフォルニア州における国際離婚:日本の協議離婚がアメリカで認められないケース

日本人同士がカリフォルニア州で結婚し、その後、日本で協議離婚を行った場合、「離婚したはずなのに、アメリカではまだ結婚していることになっている」という状況が発生することがあります。

これは、日本の協議離婚が、カリフォルニア州では自動的に法的効力を持たないためです。日本で正式に離婚していても、カリフォルニア州の法律では婚姻関係が継続していると見なされる可能性があります。

日本では、夫婦の合意のもとで離婚届を提出する「協議離婚」が一般的で、裁判所の関与を必要としません。簡単に手続きできる一方で、裁判所の判断がないため、アメリカでは正式な法的手続とみなされない場合があります。

カリフォルニア州を含むアメリカでは、離婚には必ず裁判所の手続を通す必要があり、判決によって初めて婚姻関係が解消されます。そのため、日本で成立した協議離婚も、カリフォルニア州では効力を生じないことがあるのです。

日本で協議離婚をしたとしても、カリフォルニア州では法的に婚姻関係が継続している可能性があります。これにより、次のような問題が生じるリスクがあります:

  • 再婚時に重婚と見なされる
  • 税務上の申告が複雑になる
  • 財産分与の争いが起きる
  • 相続権のトラブルが発生する

これらのリスクを回避するためには、カリフォルニア州の裁判所で「Dissolution of Marriage(婚姻解消手続)」を正式に行う必要があります。

国際結婚・離婚においては、日本とカリフォルニア州の両方で手続を進めるケースもあります。しかし、次のような問題が起こりうるため注意が必要です。

  • 管轄権の衝突:両国の裁判所が異なる判断を下す可能性
  • 手続きの二重負担:時間や費用の負担が大きい
  • 矛盾する判決:親権や財産分与について、内容が食い違うリスク

国際離婚の手続きは複雑ですが、以下の対応を取ることでリスクを減らすことができます。

  • 早期に専門家へ相談する
    日本とアメリカ双方の法律に精通した弁護士へ早めに相談しましょう。
  • 戦略的に管轄地を選ぶ
    手続において有利になる法制度の国・州を選ぶことが重要です。
  • 判決の国際的な効力を確認する
    一方の国での判決が、もう一方でも有効かを事前に確認しておきましょう。

日本の協議離婚は簡便ですが、カリフォルニア州では法的効力を持たない可能性があります。日本とカリフォルニア州の両方で正式な手続を行わなければ、離婚が成立したとは見なされないケースがあるため、注意が必要です。

国際離婚に関しては、専門的な知識が不可欠です。トラブルを未然に防ぐためにも、国際離婚に精通した弁護士への早期相談を強くおすすめします。


当法律事務所では、日米の法制度に精通した弁護士が、国際離婚に関する包括的なサポートを提供しております。どうぞお気軽にご相談ください。

カリフォルニア拠点(サンフランシスコ・ベイエリア・ロサンゼルス)
カリフォルニア弁護士・日本弁護士
田中良和

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