カリフォルニア州では、娯楽用マリファナ(大麻)が合法化されています。しかし、その「合法化」は決して無制限ではなく、使用可能な場所、所持量、年齢制限、さらには各自治体ごとの規制など、複雑なルールが存在します。また、日本とアメリカでは大麻に対する法的扱いが大きく異なります。カリフォルニア州のマリファナ規制の概要と注意点を解説します。
日本での大麻使用は違法です
まず最も重要な点として、日本においては、大麻の所持・使用は大麻取締法により違法とされており、国外で使用した場合であっても処罰の対象となる可能性があります。したがって、日本国籍を有する方は、海外においても大麻の使用を控えなければなりません。。
カリフォルニア州におけるマリファナ合法化の背景
- 医療用大麻:1996年に「プロポジション215」により医療目的での使用が合法化されました。
- 娯楽用大麻:2016年に「プロポジション64(Adult Use of Marijuana Act)」が可決され、21歳以上の成人による娯楽目的の使用が合法化されました。
この法律により、成人は以下の範囲でマリファナを合法的に所持・使用することができます。
- 所持:乾燥大麻1オンス(約28.5グラム)または濃縮大麻8グラムまで
- 使用:私有地に限定される
- 栽培:最大6株まで、自宅での非公開栽培が可能
使用できる場所と制限
✅ 使用が許可されている場所
- 自宅や私有地
- 自宅での使用は基本的に認められています。
- ただし、賃貸物件では貸主がマリファナの使用を禁止することが可能です。
- 一部の自治体が許可する消費ラウンジ
- 例:West Hollywoodなどでは、州法および地元条例に基づき消費ラウンジ(いわゆるカンナビスカフェ)が営業しています。
- 2025年1月施行の法改正により、飲食の提供や音楽イベントなども可能となりましたが、自治体の許可が必要です。
❌ 使用が禁止されている場所
- 公共の場所(公園、歩道、路上、公共交通機関など)
- 飲食店や店舗、ショッピングモール内
- 学校・保育施設から600フィート(約180メートル)以内
- 車内や運転中(開封済みの大麻製品を車内に保管することも禁止)
違反した場合、罰金刑や刑事処分の対象となる可能性があります。
法律上のリスクと注意点
- 連邦法では今も違法:アメリカ合衆国の連邦法では、大麻はスケジュールI薬物に指定されており、連邦施設内での使用・所持は違法です。たとえば、空港、国立公園、連邦裁判所などでは、カリフォルニア州法の適用が及びません。
- 企業や雇用者による規制:従業員が大麻を使用した場合、職場のポリシーにより懲戒処分や解雇の対象となることがあります。
- 未成年との関係:21歳未満への譲渡・販売は厳しく禁じられています。
- 国外への持ち出しは犯罪行為:大麻を国境を越えて持ち出すことは、重大な犯罪とされ、アメリカ国内外での刑事処罰対象となります。
合法化の社会的影響と課題
項目 | 内容 |
---|---|
税収効果 | 合法化後、カリフォルニア州では年間数十億ドル規模の税収を得ています。 |
違法市場の残存 | 高税率や規制の複雑さから、違法市場が今なお州内供給の大部分を占めています。 |
公衆衛生への影響 | 小児の誤飲、依存性、精神的影響等が報告されており、注意が必要です。 |
環境問題 | 違法栽培による森林破壊や水資源の浪費なども社会問題となっています。 |
まとめ:カリフォルニアにおける「合法化」は無制限ではない
カリフォルニア州では一定の条件の下でマリファナの使用が認められていますが、その規制は非常に細かく、かつ場所や状況によっては厳格な罰則が科されます。また、日本人にとっては、たとえ現地で合法であっても、日本法との関係に十分注意する必要があります。
もし現地でのマリファナに関する法律や規制についてさらに詳しい情報が必要な場合は、経験あるカリフォルニア州弁護士にご相談されることをおすすめします。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の行為を推奨・助言するものではありません。個別の法的判断が必要な場合は、弁護士に直接ご相談ください。
カリフォルニア拠点(サンフランシスコ、ベイエリア、ロサンゼルス)
カリフォルニア州弁護士・日本弁護士
田中良和