田中良和国際法律事務所

カリフォルニア州最低賃金が$16.90へ(2026年1月1日施行):雇用主が確認すべき実務ポイント(Exempt年俸基準も影響)

2026年1月1日から、カリフォルニア州の最低賃金(Statewide Minimum Wage)は**$16.90/時**に改定されました。これは、州の労働行政機関であるDIR(California Department of Industrial Relations)の情報で確認できます。

最低賃金の改定は、時給従業員の賃金設定だけでなく、**Exempt(残業代免除)**に関する最低年俸要件など、関連する実務にも影響します。本記事では、雇用主側で確認しておきたい点を整理します。


DIRのMinimum Wage情報では、2026年1月1日から州最低賃金が$16.90/時であることが示されています。

なお、最低賃金は「州最低賃金」だけで決まらないことがあります。次のような上乗せルールがあるため、事業の実態に応じた確認が必要です。

  • 市・郡のローカル最低賃金(州より高い自治体が存在します)
  • 業種別の最低賃金(一定の業種で州より高い最低賃金が適用される場合があります)

DIRの案内では、Fast Food Restaurant employers および Healthcare Facility employers について、州最低賃金とは別に、より高い最低賃金が適用され得ることが示されています。

飲食・医療関連の事業者は、州最低賃金だけでなく、自社の事業が該当するか、また従業員の職務や勤務形態との関係で適用範囲がどうなるかを確認しておくと安全です。


最低賃金が上がると、一般に、ホワイトカラー免除(Executive / Administrative / Professional 等)の**最低年俸要件(salary basisの要件の一部)**にも影響します。DIRはニュースリリースで、2026年の最低年俸要件の算定(最低賃金×2×40時間×52週)と金額を示しています。

DIRが示す算定に基づく2026年の目安は次のとおりです。

  • $16.90 × 2 × 40 × 52 = $70,304/年

実務上の注意点

  • Exemptかどうかは、最低年俸(salary basis)だけで決まりません。一般に、**職務内容(duty)**など、複数要件の充足が前提になります。
  • 役職名や肩書だけで免除扱いにすると、後に争いになり得ます。職務の実態との整合性を確認することが重要です。
  • 免除類型によっては、要件や基準(例:特定職種の基準)が別途問題になることがあります。個別の職種や賃金設計に合わせて整理するとよいです。

DIRは、州より高い市・郡最低賃金があることを前提に情報提供しており、参照先としてUC Berkeleyのローカル最低賃金リストを案内しています。

特に次のようなケースでは、適用最低賃金の確認が必要になりやすいです。

  • 同一会社でも、従業員が異なる市・郡で勤務する
  • 現場対応やイベント対応などで、勤務場所が日によって変わる
  • リモート勤務と出社が混在し、勤務実態(勤務場所の扱い)が複雑になる

最低賃金改定に合わせて、次のような実務項目の再点検が検討対象になります。

(1) 賃金設定(時給・給与)と給与計算

  • 州最低賃金($16.90)を下回っていないか
  • ローカル最低賃金や業種別最低賃金が適用される場合、そちらを満たしているか
  • Exempt従業員の年俸が、DIRが示す目安($70,304/年)を満たしているか

(2) Exempt/Non-Exemptの区分の再確認

  • 年俸要件だけでなく、職務実態が免除要件と整合しているか
  • 特に、管理職・管理部門・専門職として免除扱いにしているポジションは、業務内容の棚卸しが有用です

(3) 掲示・通知などのコンプライアンス

DIRの「Required Posters and Notices」では、雇用主に求められる掲示・通知に関する情報が提供されています(例:従業員への権利通知の提供期限等の案内)。
また、IWCの賃金命令(Wage Orders)に関する案内も確認できます。


まとめ

  • カリフォルニア州の最低賃金は、2026年1月1日から$16.90/時です。
  • 最低賃金の改定は、ローカル最低賃金業種別最低賃金の確認、ならびに**Exempt最低年俸要件(2026年の目安:$70,304/年)**の見直しにつながります。
  • 具体的には、賃金テーブル、Exempt区分の根拠(職務実態)、掲示・通知等の実務を一度整理しておくことが望ましいです。

免責

本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の事案に対する法的助言ではありません。個別の状況により適用法令や結論が異なることがありますので、具体的な対応については資格を有する弁護士にご相談ください。

カリフォルニア拠点(サンフランシスコ、ベイエリア、ロサンゼルス)
カリフォルニア州弁護士・日本弁護士
田中良和

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