田中良和国際法律事務所

カリフォルニア州裁判所でのProposed Order提出手続き:Court Hearing後の重要なステップ

カリフォルニア州の裁判所でCourt Hearingが終了した後、当事者が行う重要な手続きの一つに「Proposed Order(命令案)」の提出があります。今回は、この手続きについて詳しく解説します。

Proposed Orderとは、Court Hearing(法廷審理)で裁判官が下した決定や判断を文書化した「命令案」のことです。裁判官が口頭で判断を示した後、その内容を正式な裁判所命令として文書化するために当事者が作成・提出します。

カリフォルニア州の裁判所では、多くの場合、裁判官は審理中に口頭で判断を示しますが、その判断を正式な裁判所命令として記録に残すためには、文書化された命令が必要です。Proposed Orderは以下の目的を果たします:

  • 裁判官の決定を正確に文書化する
  • 当事者が従うべき具体的な指示を明確化する
  • 法的拘束力のある公式記録を作成する
  • 将来の執行や上訴の基礎となる文書を提供する

1. 命令案の作成

Court Hearing終了後、通常は勝訴当事者(prevailing party)またはその代理人弁護士が命令案を作成します。命令案には以下の内容を含める必要があります:

  • 事件番号と当事者名
  • 審理日時と裁判官名
  • 裁判官が下した具体的な決定内容
  • 当事者が履行すべき義務や制限
  • 効力発生日

2. 相手方への送付と承認取得

作成したProposed Orderは、相手方当事者またはその代理人に送付し、内容について承認を求めます。相手方は以下のいずれかの対応を取ります:

  • 承認(Approved):内容に同意し、署名する
  • 条件付き承認:修正を求めた上で承認
  • 反対(Objection):内容に異議を唱える

3. 裁判所への提出

承認が得られた場合は、両当事者が署名したProposed Orderを裁判所に提出します。相手方が反対した場合は、その旨を明記して裁判所に提出し、裁判官の最終判断を仰ぎます。

期限の遵守

多くの裁判所では、Court Hearing後の特定期間内(通常10日から30日以内)にProposed Orderを提出するよう求めています。期限を過ぎると、命令の効力に影響する可能性があります。

正確性の確保

命令案の内容は、裁判官が実際に述べた内容と完全に一致している必要があります。不正確な記載は相手方の反対や裁判官による修正の原因となります。

適切な書式の使用

カリフォルニア州裁判所では、特定の書式や様式を要求する場合があります。各裁判所のLocal Rulesを確認し、適切な書式を使用することが重要です。

相手方が承認を拒否する場合

相手方がProposed Orderの承認を拒否した場合、以下の手順を取ります:

  1. 相手方の異議点を明確化
  2. 必要に応じて修正版を作成
  3. 合意に至らない場合は、裁判所に両方の版を提出し、裁判官の判断を求める

期限内に提出できない場合

やむを得ない事情で期限内に提出できない場合は、速やかに裁判所にMotion for Extension of Time(期限延長申立)を提出する必要があります。

Proposed Orderの提出は、Court Hearing後の重要な手続きです。適切に準備し、期限内に提出することで、裁判官の決定を正式な裁判所命令として確定させることができます。初めて経験する場合は、経験豊富な弁護士に相談することをお勧めします。

この手続きを理解し、適切に実行することで、法的手続きを円滑に完了させることができるでしょう。


この記事は一般的な情報提供を目的としており、具体的な法的アドバイスではありません。個別のケースについては、必ず資格を持った弁護士にご相談ください。

カリフォルニア拠点(サンフランシスコ、ベイエリア、ロサンゼルス)
カリフォルニア州弁護士・日本弁護士
田中良和

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