田中良和国際法律事務所

カリフォルニア州DUI現場で行われる警察官のフィールド・ソブライエティ・テストとは?

DUI(飲酒または薬物の影響下での運転)が疑われた場合、カリフォルニア州の警察官は現場で**フィールド・ソブライエティ・テスト(FSTs)**と呼ばれる複数の動作テストを行うことがあります。
これらは、運転者の身体能力・注意力・バランス感覚をチェックするためのもので、アルコールや薬物の影響を推測する証拠として使われます。
しかし、疲労・緊張・病気・年齢・言語の壁などによって、酔っていなくても失敗するケースが少なくありません。


アメリカでは全米交通安全局(NHTSA)が推奨する「標準化フィールド・ソブライエティ・テスト」がよく使われます。

(1) 片足立ちテスト(One-Leg Stand)

  • 指示:片足を床から約15cm上げ、つま先を伸ばして30秒間立ち続ける
  • 警官は、時間を計測しながらバランスの崩れ、足を下ろす回数、腕の使用などを観察
  • 難しい理由:緊張や不安でバランスが崩れる、地面の状態が悪い、靴の形状などが影響

(2) ウォーク・アンド・ターン(Walk-and-Turn)

  • 指示:一直線に9歩進み、つま先とかかとを付けながら歩き、指示通りに振り返って9歩戻る
  • 線を踏み外す、歩数を間違える、振り返り方の誤りが減点対象
  • 難しい理由:狭いスペース、暗い場所、英語での指示の聞き取りミス

(3) 水平眼振検査(Horizontal Gaze Nystagmus)

  • 指示:警官が持つペンや指を目で追う
  • アルコール摂取で生じる眼球の不随意な揺れをチェック
  • 難しい理由:眼科的疾患や疲労でも似た反応が出る

警察官によっては、標準テスト以外にも以下のような課題を行うことがあります。

  • 数字の逆唱:30から1まで英語で逆に数える
  • アルファベットの逆唱:ZからAまでを英語で言う
  • 指タッチテスト:腕を伸ばして目を閉じ、指先で鼻先に触れる
  • 両足を揃えて目を閉じ、頭を後ろに傾けて30秒数える

これらは公式な標準化テストではありませんが、警官が「注意力や協調運動能力の確認」として使うことがあります。


  • 英語での複雑な指示に慣れていない
  • 緊張や焦りで注意が散漫になる
  • 不整地・暗所・悪天候など現場環境が悪い
  • 加齢や持病によるバランス感覚の低下

  • FSTの受検は法律上の義務ではありません(呼気・血液検査と異なり、拒否しても免許停止には直結しません)
  • ただし、拒否した場合でも警察は逮捕の判断を下すことがあります
  • テスト結果は裁判で証拠として使われるため、環境や健康状態などの影響を主張することが防御戦略になります

免責事項:本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の事案についての法的助言ではありません。個別案件については必ず弁護士にご相談ください。

カリフォルニア拠点(サンフランシスコ、ベイエリア、ロサンゼルス)
カリフォルニア州弁護士・日本弁護士
田中良和

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