田中良和国際法律事務所

トランプ大統領令2025年4月:関税政策とエネルギー政策の最新動向【カリフォルニア弁護士が解説】

ドナルド・トランプ米大統領は2025年4月、国際貿易とエネルギー政策を軸に複数の大統領令を発令しました。これらの政策は米国経済や国際関係に大きな影響を与える可能性があり、企業や消費者は対応が急務です。本記事では、最新の大統領令の内容、法的根拠、実務への影響を分かりやすく解説します。

トランプ大統領は「米国の貿易赤字是正」を目的に、全輸入品への追加関税と貿易不均衡国への相互関税を導入する大統領令に署名しました。

主な内容
ベースライン関税(4月5日発効)
全輸入品に10%の追加関税を課す。ただし、800ドル以下の少額貨物は一時的に免除。

相互関税(4月9日発効)
米国の貿易赤字が大きい57カ国・地域に対し、相手国が米国に課す関税率の約半分を適用。例:中国34%、EU20%、日本24%。

対象外品目
医薬品、半導体、エネルギー資源など「国家安全保障上重要な品目」は除外。

法的根拠と特徴
国際緊急経済権限法(IEEPA)を根拠に「国家緊急事態」を宣言。

相手国が報復措置を取った場合、関税率をさらに引き上げる可能性がある。

企業・消費者への影響
米Yale大学の試算では、平均実効関税率が22.5%に上昇し、物価は短期的に2.3%上昇。低所得者層の負担増が懸念されています。

小売業界は「インフレ再燃」を警戒し、NRF(全米小売業協会)は政策再考を要請。

トランプ政権は「エネルギー安全保障」と「AI開発支援」を理由に、石炭火力発電の規制撤廃を推進する大統領令を発令しました。

主な内容
バイデン前政権の環境規制を撤廃し、石炭採掘・火力発電を促進。

データセンターの電力需要増に対応するため、石炭を「戦略的資源」と位置付ける。

背景と課題
気候変動対策との矛盾が指摘される一方、産炭地の雇用創出を強調。

国際的批判が予想され、EUやカリフォルニア州など環境規制が厳しい地域との摩擦リスクあり。

連邦政府の規模縮小を掲げるトランプ政権は、教育省の解体に向けた大統領令に署名しました。

主な内容
教育省の権限を州や地方自治体に移管。
学生ローンプログラムや低所得者支援は財務省など他省庁へ移行予定。

法的課題
連邦議会の承認が必要なため実現可能性は低いが、予算削減を通じた実質的な機能停止が進む見込み。

メキシコ湾の名称変更(1月発令)
「メキシコ湾」を「アメリカ湾」に改称。地政学的な象徴性が焦点。

DEIプログラム廃止(1月発令)
多様性・公平性・包摂性(DEI)関連の連邦プログラムを終了。

関税対策: サプライチェーンの再構築と原産地規則(USMCAなど)の確認。
対象外品目の活用検討。

エネルギー政策: 石炭関連企業は規制緩和の恩恵を活かした投資拡大。
再生可能エネルギー企業は州レベルの支援策に注力。

トランプ政権の大統領令は「米国第一主義」に基づく保護貿易と伝統産業の復権が軸です。企業や消費者は法改正の動向を注視してください。

※本記事は2025年4月9日時点の情報に基づいています。

カリフォルニア拠点(サンフランシスコ・ベイエリア・ロサンゼルス)
カリフォルニア弁護士・日本弁護士
田中良和

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