田中良和国際法律事務所

マレリのChapter 11再建手続でCritical Vendor指定とPrepetition Claim支払いが始動

2025年8月1日現在、マレリホールディングス(Marelli Holdings)の米連邦破産法第11章(Chapter 11)手続において、**Critical Vendor(重要取引先)に対するPrepetition Claim(破産申立て前債権)**の支払いが開始されています。これは、7月に開催された債権者集会で説明されたとおり、再建に不可欠な取引先に対して債権回収の道が開かれる可能性を意味します。

■ Critical Vendorに指定されるとは?

Chapter 11手続においては、通常、破産申立て前の債権(prepetition debt)は支払停止となります。しかし、債務者企業(ここではマレリ)が事業継続に不可欠と判断した取引先は、「Critical Vendor」として裁判所の許可のもと、例外的に支払いを受けることが可能です。

これは、部品供給の継続やサービスの中断防止を目的とした制度であり、債務者が特定の取引先に対してPrepetition Claimを支払うことで、事業の安定と再建計画の実現を目指します。

■ 支払いを受けるにはどうすればよいか?

Critical Vendorに指定されるためには、債権者側からの積極的な対応が必要です。

▼ 具体的なステップ:

  1. 債権内容の整理
     支払いを希望するPrepetition Claimの明細(請求書、契約書、納品記録など)を準備します。
  2. 弁護士への連絡
     Chapter 11手続を担当しているマレリ側の弁護士に連絡して、具体的に提供する情報を確認します。

なお、Critical Vendor指定は裁判所の判断に基づき個別に審査されるため、すべての債権者が対象となるわけではありません

■ 最後に:迅速な対応が鍵

Chapter 11手続では、初期の段階で動いた債権者が有利な条件を得る傾向にあります。マレリのようなグローバル企業の再建案件では、米国破産法に精通した弁護士を通じて、迅速かつ的確に手続きを進めることが重要です。

当事務所では、日本企業・日系企業のChapter 11を多数取り扱っており、Critical Vendor申請、Proof of Claimの提出、支払交渉などをトータルにサポートしています。お気軽にご相談ください。


免責事項:
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の法的アドバイスを構成するものではありません。具体的な状況については、必ず弁護士にご相談ください。

カリフォルニア拠点(サンフランシスコ、ベイエリア、ロサンゼルス)
カリフォルニア州弁護士・日本弁護士
田中良和

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