ロサンゼルスは、多様な文化と産業が融合した都市であり、全米でも有数のビジネスチャンスが広がる場所です。しかし、カリフォルニア州特有の法律やローカルルールに注意を払わなければ、思わぬ法的リスクを抱える可能性があります。本記事では、ロサンゼルスでビジネスを開始する際に知っておくべき主要な法律上のポイントを、カリフォルニア弁護士の視点から解説します。
1. ビジネスライセンスと市税の登録
ロサンゼルス市でビジネスを開始する場合、「ビジネス税登録証(Business Tax Registration Certificate)」の取得が義務づけられています。これは事業開始から15日以内にロサンゼルス市のオフィスに申請しなければならず、遅れると罰金が課されることがあります。
2. 賃貸契約とゾーニングの確認
ロサンゼルスでは、商業用不動産の賃貸において、ゾーニング(用途地域)の制限が厳格です。例えば、レストランを開業したい場合、その物件が「C2ゾーン」など適切な商業用エリアに位置しているかの確認が不可欠です。また、改装工事を行う場合には建築許可(building permit)も必要になります。
3. 従業員関連の規制:最低賃金と有給病気休暇
ロサンゼルス市は州よりも高い最低賃金を独自に定めています(2025年現在、従業員26人以上の企業は時給$17.27)。さらに、有給病気休暇の付与義務や「Fair Workweek Ordinance(予測可能な勤務スケジュール)」など、労働者保護法が非常に強力です。
4. 差別禁止とアクセシビリティ(ADA)対応
ロサンゼルスでは、事業者が提供するサービスが身体障がい者にも利用可能でなければなりません。たとえば、ADA(Americans with Disabilities Act)に基づくアクセシビリティの要件に違反していると、訴訟を提起されることもあります。特に飲食店やリテール業者は、物理的バリアの除去やウェブアクセシビリティ対応に注意が必要です。
5. 消費者保護法と広告規制
ロサンゼルスで商品・サービスを消費者向けに販売する場合、カリフォルニア州消費者法(Unfair Competition Law, False Advertising Law)にも注意が必要です。虚偽の広告や誤解を招く表現は、民事訴訟や州当局の調査対象となる可能性があります。
まとめ
ロサンゼルスでのビジネス展開は魅力的ですが、法律的な落とし穴も多く存在します。開業前には、ライセンス取得、ゾーニング、労働法、ADA対応、広告規制などを事前に確認し、適切なコンプライアンス体制を整えることが不可欠です。
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言を構成するものではありません。具体的な事案については、必ず弁護士にご相談ください。
カリフォルニア拠点(サンフランシスコ、ベイエリア、ロサンゼルス)
カリフォルニア州弁護士・日本弁護士
田中良和