ロサンゼルス市で土地を購入したり、建物を建てたり、ビジネスを始めようとする際に必ず確認すべきなのがゾーニング(Zoning)、すなわち用途地域規制です。ゾーニングは都市計画の一環として、地域の健全な発展と住環境の保護を目的に、土地の利用用途を制限するものです。
本記事では、ロサンゼルスのゾーニング制度について、基礎から実務的なポイントまで、カリフォルニア州弁護士の視点から解説します。
ゾーニングとは?
ゾーニングとは、都市や地域を用途別に区分し、建物の種類や高さ、密度、使用目的などを規制する法律です。ロサンゼルス市では、Zoning Code(L.A. Municipal Code Chapter 1, Article 2)に基づき、細かくゾーンが定められています。
ロサンゼルスの主なゾーン分類
ロサンゼルス市では、以下のようなゾーン分類が一般的です:
- R(Residential)ゾーン:住宅専用地域。一戸建てやアパートなど。例:R1、R2、R3など。
- C(Commercial)ゾーン:商業施設、店舗、オフィスなどが許可される地域。
- M(Manufacturing/Industrial)ゾーン:製造業、倉庫など産業用途。
- OS(Open Space)ゾーン:公園や自然保護区域。
- PF(Public Facilities)ゾーン:公的施設(学校、図書館など)。
開発や用途変更の際に注意すべき点
1. 用途制限の確認
たとえば、R1ゾーンにレストランを建てることはできません。まずは、**ZIMAS(https://zimas.lacity.org)**というロサンゼルス市の公的ツールで、対象地のゾーニングを確認しましょう。
2. 特別用途許可(Conditional Use Permit)
ある用途がゾーン内で原則禁止されていても、特別な許可(CUP)を得れば可能になる場合があります。例えば、住宅地にホームデイケア施設を設置したい場合などが該当します。
3. バリアンス(Variance)
ゾーニング規制を一部免除する制度で、敷地形状など特殊事情がある場合に認められることがあります。
4. 再ゾーニング(Zone Change)申請
根本的に土地のゾーンを変更したい場合は、行政に対して正式な手続を行う必要があります。ただし、許可には時間も費用もかかります。
ロサンゼルスのゾーニング改革「re:code LA」
ロサンゼルス市では、Zoning Codeの抜本的見直しを目的とした「re:code LA」プロジェクトが進行中です。より分かりやすく、現代的な開発ニーズに即したゾーニングルールへの改訂が検討されており、今後の都市開発への影響が注目されています。
実務上のアドバイス
- 開発・購入前に必ずゾーニングを確認すること。
- 用途変更や開発予定がある場合は、早い段階で法的助言を受けること。
- 近隣住民とのトラブルを避けるためにも、ゾーニング違反を避けること。
まとめ
ロサンゼルスのゾーニング規制は複雑で、多くの細則や例外があります。しかし、土地利用の可否を左右する極めて重要な制度であるため、不動産取引や開発に携わる方は必ず理解しておくべきです。事前の調査と、必要に応じた弁護士への相談をお勧めします。
免責事項:
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。具体的な案件については、必ずカリフォルニア州弁護士にご相談ください。
カリフォルニア拠点(サンフランシスコ、ベイエリア、ロサンゼルス)
カリフォルニア州弁護士・日本弁護士
田中良和