田中良和国際法律事務所

債務者がChapter 11を申請したとき、売主がとるべき対応とは?

アメリカのビジネスに関わる企業にとって、取引先が連邦破産法Chapter 11(チャプターイレブン)を申請することは、突如としてリスクになります。債務者がChapter 11を申請した場合に、売主(取引相手)が取るべき法的対応を解説します。

Chapter 11とは、米連邦破産法に基づく再建型破産手続きで、企業が事業を継続しながら債務を整理・再編することを目的としています。申請が認められると、Automatic Stay(自動停止命令)が発効し、すべての債権者は原則として債権回収行為を停止しなければなりません。

売主が取るべき初動対応

Chapter 11が申請されると、裁判所によって自動的に「自動停止命令」が発令され、売主による以下の行為は原則禁止となります:

  • 支払督促・回収行為
  • 裁判の提起・継続
  • 商品・サービスの停止や引き上げ

これらを行うには、破産裁判所からのStay解除(Relief from Stay)を得る必要があります。無断で行えば制裁(Contempt)を受ける可能性があります。

Chapter 11手続きでは、裁判所が定めた期限内に「債権届出(Proof of Claim)」を提出しなければなりません。提出を怠ると、配当を受ける権利を失うおそれがあります。

債務者は、従来の契約を「履行(assume)」するか「破棄(reject)」するかを選択できます。売主は以下の対応を検討すべきです:

  • 前払い取引への切り替え
  • 与信限度の設定
  • 担保提供・保証契約の再検討

債務者がChapter 11を申請した場合、売主は迅速に対応する必要があります。自動停止命令の遵守、債権届出、契約見直しを含む一連の対応が、損失を最小限に抑える鍵です。とくに米国と関係する取引では、国際的な法的知識と戦略が不可欠です。

Chapter 11対応に不安を感じたら、弁護士へご相談ください。


免責事項:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案についての法律意見を提供するものではありません。具体的な案件については、必ず弁護士にご相談ください。

カリフォルニア拠点(サンフランシスコ、ベイエリア、ロサンゼルス)
カリフォルニア州弁護士・日本弁護士
田中良和

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