カリフォルニア州で、日本からアメリカに食品を輸出するお手伝いをしている弁護士の田中です。
日本の食品をアメリカに輸出したいけど、「FDAって何?」「手続きが複雑すぎてわからない…」という声をよく聞きます。実は、FDAのルールを無視すると商品が差し押さえられたり、罰金を科されたりするリスクがあるんです!
FDAのルールを読まずに、間違ったアドバイスをしている業者も多くあります。
他の業者に輸出できないと言われても、実際に輸出できるケースはかなり多いです。
私のところに来た相談の中にも、他の業者に「輸出できない」と言われた後に私に相談に来て、よく調べたら輸出できるケースがたくさんあります
今回は、日本からアメリカへ食品を輸出する際の手続と知っておくべき注意点を、解説します
もし分からないことがあれば、一度私にご相談ください
1.FDAとは?「アメリカ版厚労省」がチェックするポイント
FDA(Food and Drug Administration)は、アメリカの食品・医薬品・化粧品などの安全性を管理する政府機関。日本の厚生労働省のような存在です。
アメリカに食品を輸出する場合、FDAは主に以下の項目をチェックします:
• 成分の安全性(禁止物質が含まれていないか)
• ラベル表示(英語で正確な情報が記載されているか)
• 製造施設の衛生管理
例えば「未記載のアレルゲン(牛乳・ナッツなど)が含まれる食品」は即アウト。通関でストップされ、返送される可能性大です
2.必要な4つの手続
① 製造施設の登録
「食品を製造・加工・梱包する施設」はすべてFDAに登録必須です
• 登録はオンラインで可能(ただし英語サイト)
• 更新は偶数年ごと(例:2024年→2026年)
• ペットフードや飼料も対象!「人間用じゃないから大丈夫」は通用しません
② 米国代理人(USエージェント)の指定
アメリカ在住の代理人を選任しましょう。代理人の役割は:
• FDAからの連絡窓口
• 緊急時の対応(例:商品回収の指示など)
「輸入業者に代理人を頼めばOK?」と思いがちですが、迅速かつ適切な対応が求められるので、対応に慣れた専門家に依頼するのが安心です
③ 英語ラベルの作成
日本語ラベルのままでは絶対に通関できません! 以下の項目を英語で記載必須:
• 食品名
• 正味量(例:Net Weight 200g)
• 原材料リスト(※アレルゲンは強調表示)
• 栄養成分表
• 製造者情報
④ 事前通知(Prior Notice)
輸送前にFDAへ到着予定日・品目などを通知します
• 航空便:到着4時間前まで
• 船便:到着8時間前まで
• 未通知の場合、通関拒否の可能性あり
3.ここが落とし穴!特に注意すべき3つのポイント
ポイント1:食品包装材の規制
食品と接触する包装材(プラスチック・紙など)は「間接食品添加物」としてFDAの基準をクリアする必要があります。
例えば、プラスチック容器はCFR 21 Part 177に適合が必須。「日本で使えてるから大丈夫」は通用しないので、素材メーカーに確認を!
ポイント2:州ごとの追加規制
カリフォルニア州では「プロポジション65」により、BPA(ビスフェノールA)を含む製品には警告表示が必要です。
「FDAの基準はクリアしたのに州で引っかかった…」という事態を防ぐため、輸出先の州法もチェックしましょう。
ポイント3:罰則は厳しい!
FDA違反の主なペナルティは:
• 商品の差し押さえ(販売不可&廃棄)
• 最大1,000万ドル(約15億円)の罰金
• 刑事告発(懲役刑あり)
(注意)一度通関で引っかかると、同じ会社が輸出する食品は次回から念入りなチェックがされるようになります。通関で引っかからないように事前に十分な準備をしましょう。
4.弁護士からのアドバイス「失敗しないための3つのコツ」
専門家に相談する
ラベルのチェックや施設登録は、FDA対応のコンサルタントや代理店を活用すると効率的です(田中良和国際法律事務所でも対応いたします)
サンプル検査を受ける
初めての製品は、現地の検査機関で成分分析を実施。想定外の不適合を防げます。(田中良和国際法律事務所でも検査を代行します)
FDAの公式情報をチェック
ラベル基準や禁止成分はFDA公式サイトで随時更新されます。
5.まとめ:FDAは「準備」が9割!!
手続き漏れや表示ミスは、時間とコストのロスに直結します。特に初めての輸出では、早めに専門家に相談しながら、進めましょう。
アメリカ市場は可能性が大きい分、リスクも伴います。この記事が「失敗しないFDA対策」の参考になれば幸いです!
カリフォルニア拠点(サンフランシスコ・ベイエリア・ロサンゼルス)
カリフォルニア弁護士・日本弁護士
田中良和