日本でアメリカ人と結婚したものの、アメリカでは婚姻届を出していない――その後、日本で協議離婚を済ませたが、今後アメリカで再婚したい。こうした状況において、アメリカ(特にカリフォルニア州)で再婚するにはどのような手続が必要になるのでしょうか。
1. 日本での婚姻はアメリカでも有効か?
一般に、日本での婚姻は適切な手続を経ていればアメリカでも「有効な婚姻」として認められます。アメリカ市民と日本で婚姻した場合、たとえアメリカで婚姻届を提出していなくても、原則としてその婚姻関係は有効です。
アメリカでは「外国で適法に成立した婚姻は、アメリカでも有効とされる(Recognition of Foreign Marriages)」という原則があり、両当事者の国の法律に反しない限り、カリフォルニア州もこれを尊重します。
2. 日本での協議離婚はカリフォルニアで認められるか?
日本で成立した協議離婚(離婚届による離婚)も、アメリカで認められる場合があります。ただし、アメリカの州によっては、以下の条件が必要となる場合があります。
- 離婚の当事者双方が離婚手続きに適切に関与していたこと(Due process)
- 離婚手続が属する国(この場合、日本)に当事者が居住していた、あるいは相当な関係があったこと
カリフォルニア州では、日本の協議離婚を有効な離婚として認めることが多いですが、再婚にあたってはその証明が必要になります。
3. カリフォルニアで再婚するための必要書類
カリフォルニア州で再婚する際には、離婚証明書(Proof of Dissolution)の提出が求められます。日本で協議離婚をした場合、以下の書類を準備するとよいでしょう:
- 離婚届受理証明書(日本の役所で発行)
- 戸籍謄本(離婚の記載があるもの)
- 必要に応じて、これらの英訳および公証・アポスティーユ認証
これらの書類を提出することで、カリフォルニア州の郡役所(County Clerk)で再婚のためのMarriage Licenseを取得することができます。
4. 英訳とアポスティーユのポイント
日本の戸籍や離婚届の証明書類をカリフォルニアで使う場合、公式な英訳とアポスティーユ認証(外務省または法務局等による)が求められることがあります。提出先の郡によっては独自のガイドラインがあるため、事前にCounty Clerkに確認することをお勧めします。
5. 特殊な事情:移民手続きと関連する注意点
アメリカ市民との再婚が将来的にグリーンカード取得(I-130申請)などの移民手続に影響する場合、日本での離婚が適法かつ証明可能であることが重要です。移民局(USCIS)は「前婚が適法に解消されているか」を厳格に審査します。
本記事は一般的な法的情報の提供を目的としたものであり、特定の事案についての法的助言ではありません。具体的なご相談は、カリフォルニア州の弁護士にお問い合わせください。
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カリフォルニア弁護士・日本弁護士
田中良和