はじめに
米国市場は、日本の食品メーカーにとって大きなビジネスチャンスです。しかし、肉製品・乳製品・卵製品などを輸出するには、FDAやUSDAなどの規制を正確に理解し対応する必要があります。
この記事では、日本の食品を米国に輸出する際の規制や注意点、誤解されがちなポイント、そして原材料を変えずに輸出するための実践的なアドバイスをお届けします。
米国への食品輸出に必要な機関と規制
米国に食品を輸出する際は、以下の機関の規制が関わってきます:
- FDA(米国食品医薬品局)
加工食品・乳製品・卵製品などを管轄 - USDA(米国農務省)
肉製品、家禽、特定の卵製品を管轄 - CBP(米国税関・国境警備局)
通関や輸入申告を管理
肉製品の輸出は特に規制が厳しい
USDAの同等性認定が必須
日本の工場や処理施設が米国に肉製品を輸出するには、USDA FSISからの「同等性認定」が必要です。これにより、衛生・検査体制が米国と同等であることを証明します。
他にも必要な対応
- 検疫証明書の取得(日本の行政機関が発行)
- FDAへの事前通知(Prior Notice)
- 米国基準に合致した英語ラベル表示
- 残留抗生物質などの基準遵守
対象製品の例
- ビーフジャーキーや加工ハムなどの加工肉製品
- 肉エキスを使用したスープ・ソース類
- 牛肉製品にはBSE対策規制も存在
乳製品・卵製品の輸出は「可能」です!
「乳製品や卵を含む製品は米国に輸出できない」という情報は誤解です。適切に規制対応すれば、十分に輸出可能です。
乳製品の輸出要件
- チーズ、ヨーグルト、アイスなどはFDA管轄
- 殺菌工程の証明が求められる場合あり
- 英語での成分表示・栄養成分表示・アレルゲン表示が必要
卵製品の輸出要件
- 焼き菓子やパンなど、加工品に含まれる卵は輸出可能
- 液卵や加熱済み卵製品は、USDAの管理対象になることもあり
原材料やレシピを変えずに輸出するには?
「製品を変えずに輸出したい」という要望は多いですが、これは実現可能です。ポイントは、正確な知識と戦略的対応を行うこと。
専門家のサポートが重要
食品法に精通した弁護士やコンサルタントの支援により、以下が可能になります:
- 米国法に基づいたラベル戦略の設計
- 必要最小限の工程調整・証明書取得
- FDA・USDAとの交渉や例外申請のサポート
- 輸入差し止め対応・再検査支援
誤情報による「機会損失」に注意!
実際には輸出できる製品であっても、不正確なアドバイスや誤った前提により、ビジネスチャンスを逃してしまう事例が増えています。
よくある問題例
- 「乳製品が入ってるから米国には輸出できません」と誤案内
- 本来不要な試験や認証を勧められてコスト増大
- 安易にレシピ変更を勧められ、商品の魅力が損なわれる
- 結果として、輸出そのものを断念してしまう
弁護士・専門家選びのポイント
信頼できる支援者を選ぶ際は、次の点をチェックしましょう:
- 日米の食品法規に精通しているか
- 食品科学や製造現場への理解があるか
- 同様の製品での輸出支援経験が豊富か
- 日本語でのコミュニケーションが可能か
まとめ:正確な知識が、輸出成功への第一歩
米国への食品輸出は、複雑な規制と向き合う必要がありますが、正確な情報と的確な支援があれば十分に実現可能です。
特に乳製品や卵製品は、「難しい」と誤解されがちですが、実は輸出しやすいジャンルでもあります。
私たちは、原材料や製法を変えずに、安全・効果的に米国市場へ進出できるようサポートしています。誤情報に惑わされることなく、ぜひご相談ください。
ご相談・お問い合わせ
製品に応じた具体的な対応が必要な場合は、お気軽に田中良和国際法律事務所にお問い合わせください。初回相談も可能です。
免責事項
本記事は情報提供を目的としたものであり、法的アドバイスではありません。個別の案件には、専門家による確認が必要です。
カリフォルニア拠点(サンフランシスコ、ベイエリア、ロサンゼルス)
カリフォルニア弁護士・日本弁護士
田中良和