― 日本とカリフォルニアで結論が異なる理由 ―
日本とカリフォルニアでは、酔っぱらって服を脱いだ場合に公然わいせつ罪が成立するかについて、構成要件が異なります。
頻繁に生じる場面ではありませんが、似たような行為でも刑法上の判断が異なるため、その違いを紹介します。
1. 日本では「目的に関係なく」全裸は公然わいせつ罪(刑法174条)
日本の刑法174条は、性器の露出を含むわいせつ行為を公然と行った場合に成立します。
ここでいう「わいせつ」には性器露出が含まれるため、
- 酔っていた
- ふざけていた
といった動機にかかわらず、性器の露出があり、人から見える状況であれば公然わいせつ罪に該当する可能性があります。
2. カリフォルニアでは「性的意図」が必要(PC §314)
カリフォルニア刑法(Penal Code)§314 では、以下の要件が必要です。
- 故意に性器を露出し
- 他人を性的に興奮・侮辱・挑発する意図(sexual intent)があり
- 他人が見える状況で行うこと
このうち、性的意図(sexual intent)の有無が重要な要素となります。
そのため、
- 酔った状態で意図なく服を脱いだ
- 悪ふざけで脱いだ
といった行為は、PC §314 の公然わいせつに該当しないことがあります。
3. しかし、カリフォルニアでも別の法律が適用されることがある
公然わいせつ罪(Indecent Exposure)に該当しなくても、以下のような軽犯罪として扱われることがあります。
◆ Public Nuisance(公共迷惑 / PC §372)
公共の場で周囲に迷惑をかけた場合などに適用されます。
◆ Disorderly Conduct(PC §647)
酔って騒ぐ行為や、秩序を乱す行為に対して適用されます。
◆ 市条例(Nudity Ban)
多くの市では、公共の場での全裸を禁止する条例が定められています。
条例違反により罰金や拘束が生じることがあります。
4. 実務では「性犯罪」よりも「軽犯罪」として処理されるケースが多い
性器露出に性的意図がない場合、PC §314 が適用されることは多くありません。
実務上は、
- Public Nuisance(PC §372)
- Disorderly Conduct(PC §647)
- 市条例違反
として取り扱われることがあります。
5. 日本とカリフォルニアの違いまとめ
| 行為(酔って全裸) | 日本 | カリフォルニア |
|---|---|---|
| 公然わいせつ罪の成立 | 性器露出があれば成立し得る | 性的意図がなければ成立しない |
| 性犯罪者登録 | 可能性あり | sexual intent がある場合に限られる |
| その他の処罰 | 軽犯罪等が適用される場合がある | Public Nuisance / Disorderly Conduct / 市条例 |
| 判断基準 | 性器露出そのものが重要 | 性的意図の有無が重要 |
【結論】
酔った状態で全裸になった場合、
- 日本では公然わいせつ罪に該当する可能性がある
- カリフォルニアでは性的意図がなければ公然わいせつ罪にはならないが、別の軽犯罪が適用されることがある
という違いがあります。
(免責事項)
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案への法的助言ではありません。具体的な事情については弁護士に相談してください。
カリフォルニア拠点(サンフランシスコ、ベイエリア、ロサンゼルス)
カリフォルニア州弁護士・日本弁護士
田中良和
