カリフォルニア州で交通事故に巻き込まれてしまった場合、被害者は加害者に対してさまざまな損害賠償を請求することができます。どのような損害が請求可能か、実務的な観点から解説します。
1. 医療費(Medical Expenses)
交通事故によってけがを負った場合、治療費、救急搬送費、入院費、リハビリ費用、将来の治療費などを相手方に請求することができます。
- 救急車費用
- 病院での診療費
- MRIやレントゲンなどの画像診断費用
- 整形外科・理学療法・精神科治療など
- 将来的な治療の見積もり(必要な場合)
2. 逸失利益(Lost Wages / Loss of Earning Capacity)
事故によって仕事を休まなければならなかった場合や、今後働けなくなった場合には、実際に失った給与や将来得られたはずの収入についても賠償請求が可能です。
- 実際の休業日数に基づく給与の損失
- 自営業者の場合の損失証明(確定申告書など)
- 長期的な就労不能による将来的な収入の喪失(専門家の証言が必要な場合も)
3. 精神的苦痛(Pain and Suffering)
身体的な痛みや、精神的な苦痛、生活の質の低下などについても請求可能です。これは「非経済的損害(non-economic damages)」と呼ばれ、客観的な金額の算定が難しいため、弁護士の交渉力が重要になります。
- 慢性的な痛みや不眠
- トラウマやPTSD
- 生活の楽しみの喪失(Loss of Enjoyment of Life)
4. 車両や財物の損害(Property Damage)
事故により損傷した車両や、車内にあった物品の損害についても、相手方に修理費や買い替え費用を請求することができます。
- 修理見積書に基づく車両修理費用
- 修理不能な場合の市場価値に基づく買い替え費用
- 損傷したスマートフォンやノートPCなどの財物損害
5. 付随費用(Out-of-Pocket Expenses)
事故によって生じた追加的な支出、たとえばレンタカー費用、通院交通費、介護費用なども請求対象となります。
6. 過失割合と比較過失制度(Comparative Negligence)
カリフォルニア州では「比較過失制度(Comparative Negligence)」が採用されており、被害者側にも一部過失がある場合、賠償額はその割合に応じて減額されます。
たとえば、被害者に20%の過失があると判断された場合、請求できる賠償額は80%に減額されます。
まとめ
交通事故の被害に遭った際、請求できる内容は非常に多岐にわたります。適正な賠償を受けるためには、事故直後からの証拠収集や、早期の法的アドバイスが重要です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法律相談ではありません。個別の案件については弁護士に直接ご相談ください。
カリフォルニア拠点(サンフランシスコ、ベイエリア、ロサンゼルス)
カリフォルニア州弁護士・日本弁護士
田中良和