田中良和国際法律事務所

カリフォルニア州の離婚制度を弁護士が解説!知っておくべき5つのポイント(2025年4月)


こんにちは!カリフォルニア在住の日本人向けに、離婚制度の基本をわかりやすくお伝えします。アメリカは州ごとに法律が異なりますが、「カリフォルニア州」について解説します。離婚を考えている方はご覧ください!


  1. 「協議離婚」は存在しない!全てが裁判離婚

    日本では役所に離婚届を提出するだけで済む「協議離婚」がありますが、カリフォルニア州では認められていません。どんなに穏便な別れでも、必ず裁判所を通す必要があります。
    • 最低6ヶ月のクーリングオフ期間:離婚申請後、最短でも6ヶ月経過しないと成立しません。一時の感情で決断しないための制度です。
    • 合意があっても書類提出は必須:夫婦が条件に合意していても、裁判所に「Marital Settlement Agreement(MSA)」を提出し、判決を得る必要があります。

  1. 「不貞行為」は関係ない!No-Fault Divorceの仕組み
    「浮気が原因で離婚したい」と思っても、カリフォルニアでは離婚理由は問われません。どちらかが離婚したい場合、裁判所に離婚の裁判を提起すれば、最終的に離婚が可能です。
    • 証拠集め不要:日本のように不貞行為の証拠を提出する必要はなく、スムーズに手続きが進みます。
    • ただし財産分割は別問題:離婚理由は影響しませんが、不貞行為が「財産の浪費」と判断されれば、分割比率が変わる可能性も5。

  1. 財産は「共有財産」が原則!50/50分割
    カリフォルニアは「コミュニティ・プロパティ」制度を採用。結婚後に得た収入や財産は、原則として夫婦の共有財産とみなされ、半々に分割されます。
    • 隠し財産はリスク大:銀行口座や不動産の情報は完全開示が義務。虚偽報告すると罰則も。隠し財産が全て相手の取り分になることもあります。
    • 結婚前の資産は個人財産:ただし、結婚後に増価した部分(例:不動産の値上がり)は共有財産扱いになる場合も。

  1. 親権は「共同親権」が基本!子供の時間配分に注意
    日本では親権者が1人に決まりますが、カリフォルニアでは両親が共同で親権を持つのが一般的。
    • 養育費の計算方法:収入や子供と過ごす時間の割合で算出。50/50の時間配分なら支払額が減ることも。
    • 海外への子供連れ去りは厳禁:ハーグ条約により、配偶者の同意なしに国外へ連れ出すと「誘拐罪」に。
    • 州外への子供の同行制限:裁判を提起すると、配偶者の同意なしに州外に子供をも連れて行くことができなくなるので、注意

  1. 費用は弁護士次第!Mediator(調停人)活用術
    Mediator(中立な調停人)を利用する選択肢も。
    • 弁護士 vs Mediatorの違い:
    o 弁護士:夫婦の一方をサポートし、一方にのみ法律アドバイス。
    o Mediator:合意形成をサポート。中立な立場で、双方が合意した場合のみ調整が成立。
    • 英語が苦手なら日本語対応者を:人生の大事な場面ですので、日本人対応に慣れたMediatorや弁護士を探すのがおすすめ。

まとめ:離婚は「準備」と「情報収集」がカギ!
カリフォルニアの離婚は、日本の感覚とは大きく異なります。特に財産開示や親権ルールは複雑なので、早めに専門家に相談しましょう。

チェックリスト:

  1. 6ヶ月以上の居住要件を満たしているか(裁判所訴訟提起の要件)
  2. 財産リスト(銀行口座、不動産、負債)を作成
  3. 子供がいる場合は面会スケジュール案を準備
    「離婚は人生のリセット」と前向きに捉えるためにも、正しい知識で備えてくださいね!

※この記事は一般情報です。個別のケースは弁護士にご相談ください。

カリフォルニア拠点(サンフランシスコ・ベイエリア・ロサンゼルス)
カリフォルニア弁護士・日本弁護士
田中良和

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