カリフォルニア州で事業を展開する外国法人(州外法人)は、適切な登記手続きとフランチャイズ税の納付義務について正確に理解しておくことが重要です。カリフォルニア州における外国法人登記制度と関連するフランチャイズ税の仕組みについて、最新の情報に基づいてわかりやすく解説します。
外国法人登記とは?
カリフォルニア州法において「外国法人(Foreign Corporation)」とは、カリフォルニア州以外で設立された株式会社等の法人を指します。これには、他の米国州で設立された法人や、海外(日本など)で設立された法人も含まれます。
カリフォルニア州で事業活動を行う場合、その外国法人は州務長官事務所(California Secretary of State)に「Certificate of Qualification(営業許可証)」を申請・取得する必要があります。これがいわゆる外国法人登記(Foreign Corporation Registration)のプロセスです。
登記が必要となる主なケース
次のような活動を継続的・反復的にカリフォルニア州内で行う場合、外国法人登記が必要になります:
- 州内で契約を締結する
- カリフォルニア州に物理的な事業所(オフィス、店舗、倉庫等)を有する
- 州内に従業員を雇用している
- 定期的に取引(サービスの提供、商品の販売など)を行う
※ 単発的な販売や一時的な業務では、登記義務が発生しないこともありますが、「実質的な事業活動」が基準となります。
カリフォルニア州フランチャイズ税とは?
カリフォルニア州では、州内で事業を行うすべての法人に対し、「フランチャイズ税(Franchise Tax)」が課されます。これは、法人がカリフォルニア州内でビジネスを行うことに対する課税であり、たとえ州外に設立された法人でも該当する場合があります。
フランチャイズ税の概要(2025年時点)
- 最低税額:年間 $800(法人が赤字でも支払義務あり)
- 税率:一般法人に対しては 純利益の8.84%
- 課税主体:カリフォルニア州フランチャイズ税委員会(Franchise Tax Board, FTB)
- 課税対象:カリフォルニア州における源泉所得
カリフォルニア州での「Nexus」と課税義務
法人がカリフォルニア州に「経済的つながり(Nexus)」を持つと判断された場合、法人税やフランチャイズ税の支払義務が生じます。以下のいずれかに該当する場合、Nexusが認められる可能性が高いです:
- 州内に物理的拠点(オフィス、倉庫など)を有する
- カリフォルニア州の従業員が業務を行っている
- 州内の顧客に対して商品やサービスを提供している
- 州内における売上高が一定額(例:$690,144以上/2025年基準)を超える
外国法人登記の手順(最新版)
- 申請書の提出:「Statement and Designation by Foreign Corporation(Form S&DC–STK)」をオンラインまたは郵送で提出。
- 申請料の支払い:登録費用は原則として $100。追加サービス(例:24時間処理)には別途料金がかかります。
- Good Standing 証明書の提出:設立州または国の機関から発行された90日以内の証明書を添付。
- 登録代理人の指定:カリフォルニア州内に拠点を持つ登録代理人(Registered Agent)を指定。
フランチャイズ税の申告・納付義務
- FTBへの登録
- 税務申告書の提出:Form 100 または 100W(法人の種類によって異なる)
- 推定納税:年間納税額が一定額を超える場合、四半期ごとの分割納税が必要
- 最低フランチャイズ税($800)の納付
法令遵守を怠った場合のリスク
- 延滞税や罰金の課徴
- 契約の執行不能(未登録法人は州内での契約訴訟ができない)
- 営業活動の停止命令
- 法人ステータスの失効
まとめ
カリフォルニア州での事業展開を検討する外国法人にとって、登記手続と税務コンプライアンスの遵守は不可欠です。必要な手続きを早期に行い、フランチャイズ税の正確な納付を行うことで、スムーズな事業運営が実現できます。
なお、法人の事業形態や業種によって要件や免除制度が異なる場合もあるため、経験豊富な弁護士または税務専門家への相談を強く推奨します。
免責事項:本記事は一般的な法務・税務情報の提供を目的としており、個別のアドバイスを構成するものではありません。具体的なケースについては、資格を有する専門家にご相談ください。
カリフォルニア拠点(サンフランシスコ、ベイエリア、ロサンゼルス)
カリフォルニア弁護士・日本弁護士
田中良和