カリフォルニア州で不動産を譲渡する際には、「Deed(ディード)」と呼ばれる権利証書が必要不可欠です。しかし、Deedには複数の種類があり、内容を正しく理解していないと、後々トラブルに発展する可能性もあります。
Deedの基本知識から主要な種類、正しい登録方法、必要書類、登録にかかる期間、役立つリンク集まで、わかりやすく解説します。
不動産売買や贈与を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
1. Deed(権利証書)とは?
Deedとは、不動産の所有権を正式に他人へ移転するための法的文書です。
カリフォルニア州では、不動産取引の完了には、作成したDeedを郡のRecorder’s Office(レコーダーズオフィス)に登録(recording)することが求められます。
Deedには次の3つの要素が含まれるのが一般的です。
- 譲渡人(Grantor):不動産を譲渡する側
- 譲受人(Grantee):不動産を受け取る側
- 譲渡する不動産の詳細情報
Deedを正しく作成し、Recorder’s Officeに登録することで、譲受人は正式な所有権を第三者に対して主張できるようになります。
2. カリフォルニア州でよく使われるDeedの種類
種類 | 概要 |
---|---|
Grant Deed | 譲渡人が「自らの所有権に問題がない」ことを保証する一般的なDeed。 |
Quitclaim Deed | 所有権の保証なしで、持っている権利をそのまま譲渡する形式。親族間贈与などで利用される。 |
Warranty Deed | 売主が過去・現在にわたり一切の権利不備がないことを保証する強力な形式(カリフォルニアではあまり一般的でない)。 |
Interspousal Transfer Deed | 配偶者間での不動産移転に使われる特別な形式。離婚や財産整理の場面で利用される。 |
3. Deed登録方法|カリフォルニア州での手続の流れ
Deedを作成し、正式に所有権移転を成立させるための基本的な流れは以下の通りです。
- Deedの作成と公証
権利移転に関する正確な情報を記載し、公証人の立ち会いのもと署名を行います。 - Recorder’s Officeに提出
対象不動産の所在地を管轄する郡のRecorder’s OfficeにDeedと必要書類を提出します。 - 登録(Recording)
書類が受理されると、正式に公的記録に登録されます。 - 登録済み書類の受領
登録完了後、Deedのコピー(Official Record)が送付または受領可能になります。
📌 直接窓口提出・郵送提出・一部郡ではオンライン提出にも対応しています。
4. Deed登録に必要な書類一覧
書類名 | 内容・ポイント |
---|---|
署名済みDeed | 公証人によって署名・認証されたオリジナルのDeed |
Preliminary Change of Ownership Report(PCOR) | 不動産の所有権変更に関する情報を記載するフォーム。多くの郡で提出必須です。 |
登録手数料(Recording Fee) | 郡ごとに異なる登録料。通常、支払いはチェック(個人小切手または銀行発行小切手)で行います。 |
Transfer Tax Declaration(必要な場合) | 譲渡税(Transfer Tax)の申告書類。贈与や特例により免除される場合もあります。 |
📌 チェック払いの場合、支払先(Payable to)を郡の指定名義にする必要があるため、事前に公式サイトで確認してください。
📌 PCORを提出しないと罰金が科される場合がありますので、注意しましょう。
5. 登録にかかる一般的な所要日数
手続方法 | 所要日数の目安 |
---|---|
窓口提出 | 即日登録〜数営業日以内に完了することが多い |
郵送提出 | 受領から2〜4週間程度 |
オンライン提出(対応郡のみ) | 数営業日〜1週間以内 |
📌 郡や時期(繁忙期)によって登録処理にかかる時間は変動します。特に年末年始や夏季は遅延する場合がありますので、余裕を持った手続を心がけましょう。
6. カリフォルニア主要郡のRecorder’s Officeリンク集
- ロサンゼルス郡 Recorder’s Office
- オレンジ郡 Recorder’s Office
- サンディエゴ郡 Recorder’s Office
- サンタクララ郡 Recorder’s Office
- アラメダ郡 Recorder’s Office
- サンフランシスコ市郡 Recorder’s Office
それぞれ提出方法や手数料が異なる場合がありますので、事前確認をおすすめします。
まとめ
カリフォルニア州で不動産を譲渡する際、Deedは所有権移転に不可欠な重要書類です。
Grant Deed、Quitclaim Deed、Warranty Deed、Interspousal Transfer Deedなど目的に応じた正しい形式を選び、Recorder’s Officeに正しく登録することで、譲受人は法的保護を確実に受けることができます。
登録時には、必要書類を整え、登録料はチェックで支払い、登録所要日数を考慮して余裕を持った手続を進めましょう。
不動産取引やDeed登録についてご不明な点があれば、当事務所にご相談ください。
カリフォルニア拠点(サンフランシスコ、ベイエリア、ロサンゼルス)
カリフォルニア弁護士・日本弁護士
田中良和