田中良和国際法律事務所

カリフォルニア州裁判におけるデポジションと日本での実施方法

カリフォルニア州をはじめとするアメリカの裁判手続では、デポジション(Deposition)と呼ばれる証言録取が重要なディスカバリー手続のひとつです。本記事では、デポジションの基本と、日本で実施する際の特別なルールについて解説します。

デポジションは、裁判所外で行われる証人・当事者の証言録取手続です。

  • 目的: 裁判前に証人や当事者から宣誓の下で証言を記録することにより、事実確認や証拠確保を行う。
  • 方法: 弁護士が質問し、証人が答え、速記官が記録を取る。場合によってはビデオ録画も行われる。
  • 利用場面: 審理前の事実整理、証人の信用性確認、裁判当日の証言準備など。

日本はアメリカと異なり、デポジションを自由に行えるわけではありません。アメリカと日本の条約や日本の法制度に基づき、厳格な制限があります。

実施場所の制限

  • アメリカ大使館・領事館の専用施設でのみ実施可能です。
  • 日本国内では一般の会議室やホテルなどでデポジションを行うことは認められていません。

部屋の数と予約の制限

  • 大使館・領事館には、デポジション専用の部屋が2室のみ設置されています。
  • そのため、事前に十分な余裕をもって予約手続を行う必要があります。

機材の準備

  • ビデオ録画を行う場合、カメラや録音機材はデポジションを主催する側が準備する必要があります。
  • 大使館は施設のみ提供し、機材は貸与されません。

手続の流れ

  1. アメリカの裁判所で日本でのデポジション実施を許可する申立て・命令を得る。
  2. 米国務省や在日米国大使館に対して申請を行う。
  3. 部屋の予約を確定し、必要な機材・速記官・通訳を手配する。
  • デポジションはアメリカの訴訟に不可欠な証拠収集手続。
  • 日本での実施は大使館・領事館に限定され、施設数も限られている。
  • ビデオカメラ等は主催者が準備しなければならない。
  • 実施にはアメリカ裁判所の命令や在日米国大使館の許可が必要。

カリフォルニア州で係属中の裁判において、日本で証人尋問を行う際は、これらの制限を理解した上で、早めの準備と予約が重要です。


⚖️ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。具体的なケースについては必ず弁護士にご相談ください。

カリフォルニア拠点(サンフランシスコ、ベイエリア、ロサンゼルス)
カリフォルニア州弁護士・日本弁護士
田中良和

上部へスクロール