田中良和国際法律事務所

E-2ビザの基礎知識

E-2ビザは、投資家ビザとも呼ばれます。アメリカと条約を結んでいる国の国民が、アメリカにおいて事業運営のために一定額を投資することにより取得できるビザです。E-2ビザは、発行数に上限がないので、要件を満たせば取得できる可能性があります。
日本国籍者はこのE-2ビザを利用できるため、日本からの事業展開には非常に有効な手段となっています。

E-2ビザの特徴は次のとおりです。

  • アメリカでの就労が可能。
  • 配偶者も就労が可能(就労許可申請が必要)。
  • 配偶者が自由に働くためには、パスポートにE-2ビザのスタンプをもらう方がスムーズ。
  • 子ども(21歳未満、未婚)も帯同が可能(ただし就労は不可)。
  • ビザの期間は通常2年から5年(国やケースによる)。
  • 有効期間内であればアメリカと他国を何度でも出入国可能
  • アメリカ入国ごとに、I-94フォームに基づく最長2年間の滞在が許可される。

E-2ビザを取得するためには、次のような条件をクリアする必要があります。

  1. 条約締結国の国籍を有していること
    日本国籍者は対象です。
  2. 実質的な投資を行っていること
    投資金額に厳密な下限はないものの、一般的には最低でも15万ドルから20万ドル以上が推奨されます。
    少額投資の場合、ビジネスの規模や成長性についてより綿密な証明が必要になります。
  3. 投資資金のリスク性があること
    資金を自らのリスクにさらしていることが必要です。
    親会社から子会社への親子ローンも投資額に含めることが可能ですが、以下の条件を満たす必要があります。
    • 子会社に対して担保を要求しないこと
    • ビジネス用途に限定されること
    • 子会社が自由に資金を使用できること
    • 資金が確実にビジネス運営に投入されること
    なお、親子ローンを用いる場合は、通常の自己資金投資に比べ、審査官への説明ポイントが一つ増えるため注意が必要です。
  4. マネジメントポジションまたは専門職として事業に従事すること
    単なる一般従業員ではなく、経営判断に関与する管理職ポジション、もしくは特殊な技術や知識を持つ専門職でなければなりません。
    そのため、役職、職務内容、業務責任を具体的に説明する必要があります。
  5. ビジネスが実際に運営されること
    ペーパーカンパニー(存在だけの会社)では認められません。
    オフィスリース契約、営業許可、初期投資の証拠(リース契約、在庫購入、サービス契約など)が重要な証拠書類になります。
  6. 一時的滞在意思の証明
    永住意思がないことを証明する必要があります。
    たとえば、日本に自宅を保有している、家族が日本にいる、帰国後の仕事予定がある、などの事情を提出します。

E-2ビザの申請では、以下の失敗例が見受けられます。

1. 投資額が不十分

問題点:15万ドル未満の投資額で申請し、ビジネスの規模や収益見込みを十分に説明できず却下されるケース。
対策:少額投資なら、事業計画の緻密さとビジネスの現実性を徹底的に補強する。

2. 事業開始準備が不十分

問題点:投資は完了しているものの、実際の営業開始がされていない状態で申請してしまう。
対策:営業開始に向けたすべての準備(オフィスリース、ライセンス、契約書)を整えておく。

3. 親子ローンの扱いミス

問題点:ローン契約が担保付きだったり、返済条件が厳しすぎると、リスク性がないとみなされ申請が失敗する。
対策:担保不要、自由使用可能、用途限定を明記したローン契約にする。

4. 一時的滞在意思の証明不足

問題点:アメリカに永住したい意思があると判断されると却下される。
対策:帰国意思を示す書類や証拠を提出する。

5. 役職・職務内容の説明不足

問題点:申請者が本当にマネジメント職やプロフェッショナルか不明確で却下されるケース。
対策:組織図や職務記述書(Job Description)を添付して明確に示す。


E-2ビザの申請においては、

  • 十分な投資
  • 明確なビジネス運営実態
  • マネジメント・プロフェッショナルポジションの証明
  • 一時的滞在意思の説明

をバランスよく満たすことが不可欠です。

とりわけ、親子ローンなど特殊な資金調達手段を利用する場合は、通常以上に綿密な準備と丁寧な説明が求められます。

ご自身の事業プランに合わせた最適な戦略を立てるためにも、Eビザに精通した弁護士への早めの相談を強くおすすめします!

カリフォルニア拠点(サンフランシスコ、ベイエリア、ロサンゼルス)
カリフォルニア弁護士・日本弁護士
田中良和

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