田中良和国際法律事務所

H-1B:2025年の最新情報

アメリカの就労ビザの中でも取得希望者が多い「H-1Bビザ」について、2025年時点での最新情報と申請時の重要ポイントを解説します。特に今年度の上限枠や業種別の傾向、申請スケジュールなど、実務に直結する内容を網羅しています。

H-1Bビザは、アメリカで「専門職(Specialty Occupation)」に就くための非移民就労ビザです。一般的に、学士号(通常は4年制大学卒業)または同等の専門的職歴が求められ、その知識を活かした職務内容である必要があります。

主な特徴

  • 有効期間:初回3年間、最長6年間まで延長可能
  • スポンサー制:ビザの申請はアメリカの雇用主が行う
  • 配偶者・子供の帯同:H-4ビザで帯同可能。配偶者は、I-140承認済みなどの条件を満たす場合、就労許可(EAD)取得可
  • デュアル・インテント:非移民ビザでありながら、永住権(グリーンカード)取得の意思を持つことが認められる

2025年度(2024年3月抽選実施、2024年10月以降雇用開始)のH-1Bキャップ枠は以下のとおりです:

  • 一般枠:65,000件
  • 米国大学院修了者枠:20,000件(米国の修士号以上保持者が対象)
  • キャップ免除:以下の雇用者に雇用される場合は上限枠の対象外
    • 米国内の高等教育機関
    • それに関連または提携する非営利団体
    • 非営利の研究機関または政府系研究機関

2024年度から、抽選方式が「申請者(個人)単位のエントリー制」に変更されました。

一人の候補者が複数の企業から登録されても、抽選でカウントされるのは「1回のみ」です。この方式は2025年度にも継続されています。

注目される業種(2024~2025年)

  • テクノロジー・IT業界
    • ソフトウェア開発者
    • データサイエンティスト
    • AI/機械学習エンジニア
    • クラウドコンピューティング専門職
  • 医療・ヘルスケア分野
    • 医師(特に地方の医療過疎地域)
    • 医療研究者
  • 金融・コンサルティング業界
    • フィンテック専門家
    • ビジネスアナリスト
    • 経営コンサルタント
  • 教育・研究機関
    • STEM分野の大学講師
    • 先端技術分野の研究者
  • AI・機械学習人材:専門人材の需要が急増
  • サイバーセキュリティ:攻撃増加に伴い人材需要拡大
  • バイオテクノロジー:医療研究の加速化
  • リモートワーク対応スキル:グローバル業務に対応できる柔軟性が重視

2026年度(2025年10月雇用開始)のH-1B申請は、2025年3月上旬に電子登録(Electronic Registration)が始まりました。

時期内容
2025年3月上旬電子登録受付期間開始
2025年3月下旬抽選結果の通知
2025年4月〜6月当選者によるH-1B申請書の提出
2025年10月1日雇用開始日(ステータス移行日)
  • 職務内容の適格性:専攻と職務の関連性を明確に記述
  • 適正な賃金:地域・職種に応じた「適正賃金」を確保
  • 書類の完全性:LCA、雇用契約、学歴証明等の正確な提出
  • 法改正の最新情報に対応:USCISの最新ガイダンスを常に確認

以下のような場合は、弁護士への相談が推奨されます:

  • 複数の勤務地や雇用主が存在する
  • 専攻と職務内容が完全に一致しない
  • 過去にビザ拒否や不法滞在歴がある
  • キャップ免除の可能性がある

H-1Bビザは、専門職としてアメリカで働くための代表的な手段であり、2025年度もその重要性は変わりません。ただし、抽選制度の改定や業界動向の変化に留意が必要です。

AI、バイオ、サイバーセキュリティなど、注目分野での人材ニーズは特に高く、計画的な準備と専門家の支援が成功へのカギとなります。


※本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定のケースに対する法的助言ではありません。具体的な申請については、資格を持つ移民弁護士にご相談ください。

カリフォルニア拠点(サンフランシスコ、ベイエリア、ロサンゼルス)
カリフォルニア弁護士・日本弁護士
田中良和

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