田中良和国際法律事務所

J-1ビザ:アメリカ留学と就労の道

アメリカ合衆国への留学を考えている方にとって、適切なビザの選択は将来の成功に大きく影響します。特に、教育と就労体験の両方を求める方には、J-1ビザ(交流訪問者ビザ)が理想的な選択肢となるでしょう。このビザは、単なる学術プログラムだけでなく、一定の条件下での就労機会も提供しています。

J-1ビザは、教育・文化交流プログラムを通じてアメリカと他国との相互理解を促進することを目的としています。このビザは、1961年に制定された「相互教育文化交流法(Mutual Educational and Cultural Exchange Act)」に基づいており、米国国務省(U.S. Department of State)により監督されています。

J-1ビザは、次のような指定カテゴリーに該当するプログラム参加者を対象としています。

  • 大学生・大学院生(College and University Student)
  • 研究者・教授(Research Scholar / Professor)
  • 短期研修生(Short-Term Scholar / Intern)
  • 医療研修生(Alien Physician)
  • 教師(Teacher)
  • キャンプカウンセラー(Camp Counselor)
  • オペア(Au Pair)
  • サマーワーク&トラベルプログラム参加者(Summer Work Travel)

J-1ビザの大きな魅力の一つは、一定の条件下での就労が許可されている点です。ただし、就労の範囲や条件は、各プログラムのカテゴリーにより厳格に異なります。

1. プログラム関連の就労(学生)

  • キャンパス内での就労:「College and University Student」カテゴリーに該当する場合、大学のキャンパス内で週20時間までのパートタイム勤務が許可されることがあります(要スポンサーの承認)。
  • アカデミック・トレーニング(Academic Training):専攻分野に関連する実践的経験を得るため、在学中および卒業後に一定期間の就労が可能です(最大18カ月、一部STEM分野では36カ月)。

2. インターンシップ・研修プログラム(Intern / Trainee)

  • インターン:在学中または卒業後12ヶ月以内の学生が対象。最長12ヶ月までのプログラムが認められます。
  • トレイニー:卒業後1年以上の職歴がある方が対象で、最長18ヶ月(ホスピタリティ関連は12ヶ月)まで認められます。
  • いずれの場合も、事前にForm DS-7002(トレーニング計画書)を提出し、プログラムの教育的価値が明示されている必要があります。

3. サマーワーク&トラベル

大学生が夏季休暇中(通常4ヶ月まで)に米国内で季節的就労を行い、文化体験を深めるプログラムです。主にリゾート、レストラン、テーマパークなどの職場で就労します。

4. 専門職プログラム

  • 医師、研究者、教授などの専門職カテゴリーでは、米国内の認定機関での教育的・研究的活動が可能です。
  • 医療研修生(Alien Physician)は、ECFMG(Educational Commission for Foreign Medical Graduates)による特別な承認と手続が必要です。

J-1ビザによる就労には、以下のような重要な制限と条件があります:

  • プログラムの主目的は「教育・文化交流」であり、就労は補助的な位置付けであること
  • 就労にはJ-1プログラムスポンサーの事前許可が必要
  • 就労が学業やプログラムの目的を妨げない範囲であること
  • 「二年間の本国帰国義務(Two-Year Home Country Physical Presence Requirement)」が課される場合があること(例:政府資金援助、特定の技能職リスト対象者など)

J-1ビザの取得には、以下の要件を満たす必要があります:

  • 適格なスポンサー団体からの受入承認(Form DS-2019)
  • 十分な財政能力の証明
  • 必要に応じて英語能力を証明する書類(TOEFL、IELTS等)
  • 母国との結びつきを示す証拠(帰国意思を裏付ける書類等)
  • 指定された医療保険への加入(米国国務省の最低条件を満たすこと)

J-1ビザは、アメリカでの教育機会と実践的な職業経験、文化交流を同時に実現できる貴重な機会を提供します。単なる留学では得られない「実体験」を通じて、キャリアと国際的視野を広げることが可能です。

ただし、J-1ビザの就労範囲や手続きは厳格に規定されており、無断での就労や不適切な活動はステータス喪失や将来のビザ取得への影響を及ぼすおそれがあります。

J-1ビザに関する規則や要件は変更される可能性があるため、常に最新情報は米国国務省(https://j1visa.state.gov)または最寄りの米国大使館・領事館で確認することをお勧めします。

当事務所では、J-1ビザを含む各種非移民ビザの申請サポートを行っております。インターンシップ、研究活動、医療研修などの目的に応じた個別の戦略立案や書類作成支援を通じて、スムーズなビザ取得をお手伝いいたします。まずはお気軽にご相談ください。

カリフォルニア拠点(サンフランシスコ、ベイエリア、ロサンゼルス)
カリフォルニア弁護士・日本弁護士
田中良和

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