田中良和国際法律事務所

L-1ビザ:アメリカでのビジネス展開を支援する転勤ビザ

L-1ビザは、外国企業がアメリカ国内に事業を展開する際に、海外の幹部社員や専門知識を持つ従業員をアメリカへ転勤させるためのビザです。このビザは「駐在員ビザ」とも呼ばれ、多国籍企業にとって重要な人材移動の手段となっています。

L-1ビザには主に2つの種類があります:

  • L-1A(管理職・幹部向け):海外企業の幹部や管理職がアメリカ支社・子会社などで働くためのビザ
  • L-1B(専門知識保有者向け):企業特有の専門知識を持つ従業員がアメリカで働くためのビザ

L-1ビザを申請するためには、以下の条件を満たす必要があります:

  • 申請者は過去3年間のうち少なくとも1年間、海外の関連会社で継続して勤務していること
  • アメリカと海外の会社が適格な関係(親会社・子会社・支店・関連会社)にあること
  • アメリカでの役職が、管理職または重役職(L-1A)あるいは専門知識を要する職種(L-1B)であること
  • L-1A:最初に1年(新設オフィスの場合)または3年の滞在が許可され、2年ごとに延長可能。最長7年まで
  • L-1B:最初に3年間の滞在が許可され、1回の延長(2年)を経て、最長5年まで

※新設オフィスへの転勤の場合、最初の滞在期間は通常1年間となります。

  • 家族の同伴:配偶者と21歳未満の未婚の子どもはL-2ビザで同伴可能
  • 配偶者の就労:L-2ビザ保持者の配偶者はEAD(就労許可証)を申請でき、働くことが可能
  • 二重意図(Dual Intent)の許容:永住権(グリーンカード)取得の意図を持ちながら、L-1ビザを維持・申請可能
  • ブランケット申請:一定の条件を満たす大企業は、個別申請ではなく包括的な(ブランケット)申請が可能

L-1Aビザ保持者は、「多国籍企業の管理職・重役」(EB-1C)カテゴリーでの永住権申請が可能です。このルートは比較的迅速で、通常必要とされる労働証明書(PERM)が不要な点が利点です。

  • 事業計画の詳細:特に新規事業の場合、実現可能性の高い詳細な事業計画書が求められます
  • 物理的オフィスの確保:アメリカ国内に実際のオフィススペースを確保していることが必要です
  • 書類準備:組織図、職務記述書、財務諸表など、多岐にわたる証拠書類の準備が求められます
  • 専門性の証明:特にL-1Bの場合、従業員の専門知識が企業にとって不可欠であることを明確に証明する必要があります

近年、移民局(USCIS)によるL-1ビザ申請の審査は厳格化しています。特に以下の点で追加証拠提出(RFE)が増えています:

  • 海外勤務の実績と具体的な職務内容の証明
  • アメリカでの職務が本当に管理職または専門職であるかの詳細な立証
  • 新設企業の場合、事業の継続性と成功可能性に関する追加証明

L-1ビザ申請は複雑なプロセスであり、近年の厳格な審査環境では、経験豊富な弁護士のサポートが成功の鍵となります。

当事務所では、L-1ビザ申請に関する豊富な経験と実績があります。カリフォルニアでのビジネス展開をお考えの企業様、またL-1ビザによるアメリカ赴任をご検討中の方は、ご相談ください。

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的アドバイスを提供するものではありません。個別のケースに応じた具体的なアドバイスをご希望の場合は、必ず弁護士にご相談ください。

カリフォルニア拠点(サンフランシスコ、ベイエリア、ロサンゼルス)
カリフォルニア弁護士・日本弁護士
田中良和

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