田中良和国際法律事務所

婚約指輪を贈った場合、贈与税はかかるのか?日米比較

婚約指輪を贈るときに、意外と気になるのが「贈与税はかかるのか」という点です。

特に、高価な指輪を購入した場合や、日本とアメリカのどちらにも関係があるカップルの場合、「税務上、何か申告が必要なのではないか」と心配される方もいます。

結論からいうと、通常の婚約指輪であれば、贈与税が問題になるケースは多くありません。

もっとも、指輪の金額が非常に高額である場合や、現金・不動産・投資資産などを婚約に関連して渡す場合には、税務上の検討が必要になることがあります。

日本の贈与税の場合

日本では、個人から財産をもらった場合、原則として贈与税の対象になります。

ただし、贈与税には年間110万円の基礎控除があります。そのため、1年間にもらった贈与の合計額が110万円以下であれば、通常、贈与税はかかりません。

また、結婚や婚約に伴って贈られる通常の贈り物については、社会通念上相当な範囲であれば、贈与税の対象にならないと考えられます。

婚約指輪は、結婚に向けた慣習的な贈り物です。そのため、一般的な金額の婚約指輪であれば、贈与税を申告しなければならないケースは少ないといえます。

一方で、指輪の金額が著しく高額な場合には注意が必要です。

たとえば、通常の婚約指輪というよりも、実質的に財産を移転する目的で高額な宝石や貴金属を渡したような場合には、「社会通念上相当な贈り物」といえるかが問題になる可能性があります。

アメリカの Gift Tax の場合

アメリカの場合、日本と少し考え方が異なります。

米国の gift tax は、原則として、贈り物を受け取った側ではなく、贈った側の問題です。

また、米国では毎年一定額までの贈与については、年間除外額の範囲内として扱われます。2026年時点では、1人の受贈者に対する年間除外額は19,000ドルです。

婚約指輪の価値がこの金額を超える場合でも、すぐに税金を支払わなければならないとは限りません。多くの場合、贈与税申告書を提出し、生涯免税枠を使う形になります。

ただし、婚約者はまだ配偶者ではありません。そのため、結婚後の配偶者間贈与に認められるような無制限控除は、婚約段階では通常使えません。

したがって、米国市民、グリーンカード保持者、米国居住者などが高額な婚約指輪を贈る場合には、gift tax return の提出が必要になるかを確認した方がよいでしょう。

普通の婚約指輪なら、過度に心配する必要はない

実務的には、一般的な婚約指輪について、贈与税の申告や納税が問題になることは多くありません。

婚約指輪は、結婚に向けた慣習的な贈り物であり、通常は資産移転を目的とした贈与とは性質が異なるからです。

ただし、次のような場合には注意が必要です。

  • 指輪が非常に高額である場合
  • 同じ年に、他にも大きな贈与をしている場合
  • 贈る人または受け取る人が米国市民、グリーンカード保持者、米国居住者である場合
  • 指輪ではなく、現金や投資資産を婚約に関連して渡している場合
  • 日本とアメリカの両方の税務が関係する場合

このような場合には、単に「婚約指輪だから大丈夫」と考えず、税理士などの専門家に確認することをおすすめします。

まとめ

婚約指輪を贈った場合でも、一般的な金額であれば、贈与税の問題が生じることは通常多くありません。

日本では、年間110万円の基礎控除があり、さらに婚約・結婚に伴う社会通念上相当な贈り物であれば、贈与税の対象外と考えられる余地があります。

アメリカでは、贈与税は原則として贈った側の問題であり、年間除外額を超える場合には、申告の要否を検討する必要があります。

特に高額な婚約指輪や、国際結婚、日本・米国双方に関係するケースでは、税務上の扱いが複雑になることがあります。

通常の婚約指輪であれば過度に心配する必要はありませんが、金額が大きい場合には、事前に専門家に確認しておくと安心です。


【免責事項】
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務相談に対する助言ではありません。記載内容は執筆時点の法令・制度に基づくものであり、将来変更される可能性があります。また、個々の事情により取り扱いが異なる場合がありますので、実際の申告や判断にあたっては、税理士等の専門家に必ずご確認ください。本記事の内容に基づいて生じたいかなる損害についても、当方は責任を負いかねます。

カリフォルニア拠点(ロサンゼルス、サンフランシスコ、ベイエリア)
カリフォルニア州弁護士・日本弁護士
田中良和

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