田中良和国際法律事務所

米国でクレジットカード決済を導入するには?Web決済と決済代行サービスの活用

米国で商品やサービスを販売する際、消費者がWeb上でクレジットカード決済をできるようにしたい、と考える会社は少なくありません。対面でカードを読み取る端末がなくても、決済代行サービスを利用すれば、ホームページやメールで案内したリンクから支払いを受け付けることができます。

導入時にまず検討したいのは、決済業者が用意する支払いページを利用する方法です。顧客がそのページでカード情報を入力し、決済業者が処理する仕組みにすれば、自社のサーバーでカード番号を直接扱う範囲を抑えられます。法的リスクと運用負担を考えても、多くの中小企業にとって現実的な選択肢です。

Web決済の導入方法には、主に次のようなものがあります。

  1. 支払いリンクを送る方法
    決済業者の管理画面で商品・サービスの内容と金額を設定し、発行されたリンクをメールやWebサイトで案内します。顧客はリンク先でカード決済を行います。定額サービスやイベント参加費などに使いやすい方法です。
  2. オンライン請求書を送る方法
    顧客ごとに金額や請求内容が異なる場合は、決済機能付きの請求書を発行します。顧客は請求書のリンクから支払えるため、個別の見積りに基づくサービスなどに向いています。
  3. ホームページに決済機能を組み込む方法
    「購入する」「支払う」などのボタンから決済業者のページへ移動させる方法や、業者が提供する決済フォームを埋め込む方法があります。商品数や注文処理に応じて、ECサイトの仕組みと組み合わせます。

例えば、Stripeは支払いリンクやオンライン請求書、Webサイトと連携する決済機能を提供しています。Squareには支払いリンクと店舗の決済管理を連携させる機能があり、PayPalでもオンライン請求書などを通じてカード払いを受け付けられます。利用できる機能や条件は、契約する国、プラン、事業内容などによって異なります。

実際の導入では、まず自社の事業内容を取り扱える決済業者を選び、会社や代表者等の情報を登録して、必要な確認・審査を受けます。そのうえで入金先口座を設定し、商品・サービス、金額、通貨、領収書などを設定します。公開前には、支払いから注文確認、返金までの流れをテストしておくと安心です。必要書類や利用条件は業者ごとに確認してください。

業者を選ぶ際には、決済手数料の割合だけで判断しないことも大切です。月額料金、海外発行カードや通貨換算にかかる費用、返金時の手数料の扱い、入金までの日数、売上金の留保・保留条件、チャージバックへの対応費用などを確認しましょう。自社の顧客層と取引金額を前提に比較する必要があります。

弁護士の立場から特に注意したいのは、決済代行サービスの導入と、消費者との契約条件の整備を一緒に進めることです。商品・サービスの内容、請求額と通貨、提供時期、返品・返金条件、キャンセル条件、問い合わせ先を、顧客が支払い前に確認できるようにしておきます。利用規約への同意を取得し、その時点の規約と同意記録を保存する仕組みも、紛争予防に役立ちます。

また、カード決済には「チャージバック」があります。顧客がカード発行会社に請求への異議を申し立てることで、受領した代金が決済口座から差し引かれることがあり、手数料も発生し得ます。決済が一度成功すれば、売上が必ず最終確定するわけではありません。契約内容、注文確認、発送・提供の記録、顧客とのやり取りを残し、異議申立てがあった場合に期限内に対応できるようにしておくことが重要です。

セキュリティの面でも、外部委託によって会社側の対応がすべてなくなるわけではありません。PCI DSSはカード情報の保護に関する業界基準です。決済業者のページを利用すると対応負担を軽減できますが、採用する仕組みに応じた確認や対応は残ります。通常のメールや問い合わせフォームでカード番号を送ってもらう運用を避け、業者が提供する決済画面へ案内する設計が望ましいでしょう。

カード情報を自社で保存しなくても、氏名、連絡先、注文履歴などの個人情報を取得する場合があります。実際の取扱いに合ったプライバシーポリシーを用意し、カリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)などの適用も確認します。CCPAには適用要件があり、すべての会社が同じ義務を負うわけではありません。

月額会費や定期購入を導入する場合は、さらに自動更新のルールを確認する必要があります。カリフォルニア州では、自動更新条件への明確な同意、必要な通知、容易な解約方法などが求められ、オンラインで申し込んだ契約にはオンラインで解約できる仕組みが必要です。決済業者の自動課金機能を有効にするだけで、これらの要件を満たせるとは限りません。

決済手数料を消費者に上乗せする場合も注意が必要です。カリフォルニア州のSB 478が適用される取引では、原則として、消費者が必ず支払う手数料を表示価格に含める必要があります。例えば、カード払いしか選べないのに、購入手続きの最後で必須のカード手数料を加算する方法は問題になります。手数料の請求方法は、適用法と決済業者・カードブランドの条件を確認して設計してください。

初めてWeb決済を導入する会社であれば、支払いリンクやオンライン請求書から始め、取引量や業務の流れに応じてホームページとの連携を進める方法が考えられます。導入の段階で契約条件、返金対応、個人情報の取扱いまで整えておくことが、導入後のトラブルと負担を減らすことにつながります。

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