カリフォルニア州で人身傷害事故の被害に遭った方から相談を受けるたびに、私が感じるのは「もう少し早く動いていれば」という場面の多さです。サンフランシスコ・ベイエリアとロサンゼルスで長年、Personal Injury案件を扱ってきた経験から、適切な初動が補償額を大きく左右することを、私は何度も目の当たりにしてきました。
このブログでは、私が依頼人に必ずお伝えする事故直後の対応と、損害賠償額の現実的な目安についてまとめています。
事故直後にすべきこと
まず医療処置を受けてください
「大したことないから」と受診を後回しにする方が非常に多いのですが、これが後々、大きな問題になります。軽症に見えても必ず医師の診察を受け、頭痛・めまい・首の張りなど、その場では気づきにくい症状もすべて正直に伝えてください。
医療記録は補償請求における最も重要な証拠です。受診しなければ記録が残らず、「たいして痛くなかったはずだ」と保険会社に主張されてしまいます。
現場の記録を残す
可能であれば、その場で写真を撮ってください。怪我の状態、車両の損傷、道路や施設の状況――後から「あのとき撮っておけばよかった」と後悔される方を私はたくさん見てきました。目撃者がいれば連絡先を必ず控え、交通事故であれば警察を呼んでPolice Reportを作成してもらうことが不可欠です。
相手の情報を確認する
相手の氏名・連絡先・保険情報を必ず入手してください。企業の施設内での事故であれば、管理者の名前と連絡先も記録しておきましょう。この情報が後の請求手続きの起点になります。
保険会社への連絡は「事実のみ」
自分の保険会社には速やかに事故を報告してください。ただし、この段階で詳細な供述をする必要はありません。まだ怪我の全容もわかっていない状態で話しすぎることは、後の交渉で不利になることがあります。
法的対応で気をつけてほしいこと
相手の保険会社には慎重に
事故後、相手方の保険会社から「早期解決」を提案されることがあります。しかし、最初のオファーはほぼ間違いなく、あなたが受け取るべき金額より低く設定されています。録音での供述を求められても、弁護士に相談する前に応じる必要はありません。医療記録へのアクセス許可を与える前にも、必ず弁護士に確認してください。
時効を見落とさないこと
カリフォルニア州では、人身傷害訴訟の時効は原則2年です。ただし、市・郡・州などの政府機関が関わる事故(公共交通機関、公道の管理不備など)の場合は別の注意が必要です。California Government Claims Actに基づき、事故から6ヶ月以内にGovernment Claimを提出しなければ、訴訟自体ができなくなってしまいます。この期限を逃したために泣く泣く請求を断念せざるを得なかったケースを、私は実際に経験しています。
早めの相談が、結果を変える
「弁護士に相談するのは大げさかも」と思わないでください。初回相談は無料で行っていますし、費用についてはコンティンジェンシー・フィー(成功報酬制)を採用しているため、勝訴・和解によって補償を受けられた場合にのみ費用が発生します。
損害賠償額の目安――依頼人によく聞かれること
「いくらもらえますか?」は、ご相談の場で最もよく聞かれる質問です。正直に言えば、ケースごとに大きく異なるため断言はできません。ただ、私の経験から言える目安をお伝えします。
経済的損害(Special Damages)
これは比較的明確に算出できます。
- 医療費:実費として100%請求できます
- 休業損害:事故によって失った給与、および将来の収入損失
- 財産損害:車両などの修理・交換費用
非経済的損害(General Damages)―― いわゆる慰謝料
Pain and Sufferingとも呼ばれるこの損害は、医療費をベースに算定されることが多く、私の取り扱い案件を振り返ると概ね以下のような水準になります。
| 怪我の程度 | 医療費に対する倍率の目安 |
|---|---|
| 軽度の怪我 | 1.5〜3倍 |
| 中程度の怪我 | 3〜4倍 |
| 重傷 | 4〜5倍以上 |
| 永久的障害を伴う場合 | 5〜10倍以上 |
ただしこの数字は、あくまで目安です。実際の金額は、怪我の永続性、治療期間、日常生活・仕事への支障、そして比較過失(Comparative Fault) ――つまり事故における双方の過失割合――によっても変わります。また、相手方の保険の補償限度額が上限になることも念頭に置いておく必要があります。
おわりに
事故の後は、心身ともに消耗しています。それでも、初動の対応が最終的な補償額を大きく左右することは事実です。少しでも不安があれば、ぜひ早めにご相談ください。
免責事項:この情報は一般的なガイドラインであり、個別の法的アドバイスではありません。具体的な状況については、資格を持つ弁護士にご相談ください。
カリフォルニア拠点(サンフランシスコ、ベイエリア、ロサンゼルス)
カリフォルニア弁護士・日本弁護士
田中良和
