カリフォルニアで離婚を検討している日本人の方から、よくいただく質問の一つが
「Spousal Support(配偶者扶養)」とは何か?日本の婚姻費用とどう違うのか?という点です。
Spousal Supportの基本・日本制度との違い・実務上のポイントを解説します。
1. 日本の「婚姻費用」との違い
日本には「婚姻費用」という制度があります。
■ 日本の婚姻費用
- 婚姻中に支払われる生活費
- 通常、収入の高い配偶者(多くは夫)が支払う
- 離婚すると原則終了する
■ カリフォルニアのSpousal Support
一方、カリフォルニアでは:
- 配偶者の生活を支えるための支払い
- 離婚後も継続する
👉 ここが最大の違いです。
2. Spousal Supportは離婚後も続く
カリフォルニアでは、Spousal Supportは以下のように分類されます:
- Temporary Spousal Support(離婚手続中)
- Long-Term Spousal Support(離婚後)
特に重要なのは、離婚後も支払いが続く点です。
3. 「10年ルール」と長期婚姻
カリフォルニアの実務で非常に重要なのが、いわゆる**「10年ルール」**です。
■ 長期婚姻(Long-Term Marriage)
- 一般的に婚姻期間10年以上
この場合:
- 支払い期間が明確に制限されない
- 長期間(場合によっては無期限)継続する可能性
👉 実務上は、収入の高い側(多くは夫)が、長期間支払い続けるケースが多くなります。
4. Spousal Supportの計算方法
Spousal Supportは、ある程度機械的に試算することが可能です。
カリフォルニアでは、以下のようなツールが利用されます:
- 収入(夫・妻)
- 税金
- 扶養状況
などを入力すると、目安額(ガイドライン)が算出されます。
■ 裁判所ベースの計算ツール(参考)
以下のツールが広く使われています:
👉 Dissomaster
👉 Xspouse
また、一般向けの簡易計算は以下でも可能です:
👉 California Courts Self-Help
(※裁判所公式サイトのセルフヘルプ内で情報確認が可能)
5. なぜカリフォルニアで離婚を選ぶのか?
日本人のケースで実務上よく見られるのが:
👉 あえてカリフォルニアで離婚を選択するケース
理由は明確です:
- 日本 → 離婚後の生活費は基本なし
- カリフォルニア → Spousal Supportが継続
特に専業主婦・収入差が大きい夫婦では、この差は非常に大きくなります。
6. 10年をめぐる「離婚のタイミング」
実務上、非常に興味深い現象があります。
■ よくある動き
- 結婚10年直前
- 高収入側(多くは夫)が離婚を提起
理由:
👉 10年を超えると長期的な支払い義務が発生する可能性が高いため
■ 制度が与える影響
このように:
- Spousal Support制度が
- 離婚のタイミングに影響を与える
👉 つまり、制度自体が10年経過前の離婚を促進する側面もあります。
7. 実務上の重要ポイント
Spousal Supportでは以下が重要です:
- 双方の収入
- 就労能力(earning capacity)
- 婚姻期間
- 生活水準(marital standard of living)
👉 単純な計算だけでなく、裁判所の裁量も大きく関与します。
8. まとめ
カリフォルニアのSpousal Supportは、日本の婚姻費用と比較して:
- 離婚後も支払いが続く
- 10年以上で長期化する可能性
- 離婚戦略に影響を与える
👉 非常に重要な制度です。
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言を構成するものではありません。
具体的な事情については、カリフォルニア州の弁護士に個別にご相談ください。
カリフォルニア拠点(サンフランシスコ、ベイエリア、ロサンゼルス)
カリフォルニア州弁護士・日本弁護士
田中良和
