田中良和国際法律事務所

夫婦とも働いておらず、Social Securityだけを受給している場合、離婚後のSpousal Supportは必要か?

離婚を考えている夫婦がどちらも働いておらず、収入がSocial Securityだけである場合、「離婚後にSpousal Support(配偶者扶養料)を支払う必要があるのか」という疑問が生じます。

結論からいうと、Social Securityだけを受給していることや、働いていないことだけで、扶養料の支払い義務が自動的になくなるわけではありません。ただし、実際に支払いが命じられるか、金額がいくらになるかは、夫婦それぞれの収入、生活費、資産などによって異なります。

カリフォルニア州の裁判所は、Spousal Supportの金額や期間を決める際、Family Code § 4320に定められた複数の事情を考慮します。たとえば、婚姻中の生活水準、双方の収入や支払能力、必要な生活費、資産や債務、婚姻期間、年齢や健康状態などです。

そのため、夫婦の一方が働いていなくても、Social Securityの受給額に大きな差があり、受給額の多い側に支払能力があると判断されれば、扶養料が命じられる可能性があります。反対に、双方の受給額が近く、ほかに収入や利用可能な資産がなく、それぞれの生活費をまかなうだけで精一杯であれば、扶養料が認められない、または少額となることも考えられます。

受給額の差だけで結論が決まるわけではありません。たとえば、医療費や住宅費、借金、退職口座や不動産などの資産も、全体の経済状況を判断するうえで重要です。

Social Security給付の分配とSpousal Supportは、別の問題です。離婚時に給付そのものを単純に夫婦で半分ずつ分けるわけではありません。一方で、扶養料を判断する際には、双方が実際に受け取っている給付額やその他の資産・支出が問題になります。

また、「Social Security」と呼ばれる給付には、退職給付、障害給付(SSDI)、低所得者向けのSSIなどがあります。給付の種類によって徴収に関する扱いが異なる場合があるため、給付通知書で種類を確認することが大切です。

すでにSpousal Supportの支払命令がある場合、仕事をしていないことやSocial Securityの受給開始だけを理由に、支払いを自分で止めることはできません。裁判所が命令を変更するまでは、原則として現在の命令が有効です。

Social Security Administration(SSA)は、裁判所から有効な徴収命令を受けた場合、扶養料などの支払い義務を履行するため、Social Security給付から金額を差し引くことがあると説明しています。

夫婦とも働いておらず、Social Securityだけを受給している場合でも、Spousal Supportの支払い義務が生じる可能性はあります。ただし、受給額や生活費、資産、年齢・健康状態などを踏まえて判断されるため、「働いていないから必ず払わなくてよい」とも、「受給額の多い側が必ず払う」ともいえません。

具体的な見通しを検討するには、夫婦それぞれの月額給付、給付の種類、毎月の生活費、資産や債務、婚姻期間、既存の裁判所命令の有無を確認する必要があります。

本記事はカリフォルニア州法に関する一般的な情報であり、個別の事件についての法的助言ではありません。

カリフォルニア州弁護士・日本弁護士
カリフォルニア拠点(ロサンゼルス・サンフランシスコ)
田中良和

上部へスクロール