田中良和国際法律事務所

カリフォルニア州で中古品を販売する際の法律

カリフォルニア州で、中古品販売をビジネスとして始めたいという相談を受けることがあります。

たとえば、日本から商品を仕入れて販売したい、フリマアプリやeBayで継続的に商品を売りたい、ヴィンテージ品や中古ブランド品を扱いたい、というケースです。

カリフォルニア州では、中古品の販売自体は広く行われています。実際、中古家具、古着、ヴィンテージ商品、中古車、リファービッシュ品などの市場は大きく、ビジネスチャンスもあります。

ただし、中古品販売には、通常の商品販売とは異なる法律上の注意点があります。特に、継続的に、または営利目的で中古品を取り扱う場合には、ライセンス、記録保存、本人確認、商品表示、売上税などを確認しておく必要があります。

この記事では、カリフォルニア州で中古品販売を行う際に注意すべき基本的な法律上のポイントを説明します。

カリフォルニア州では、中古品に対する抵抗感が比較的少なく、むしろ「サステナブル」「ヴィンテージ」「プレオウンド」といった価値として受け入れられている面があります。

日本と比べると、中古品であっても一定の価値が残りやすい商品も多くあります。家具、ブランド品、古着、家電、車、楽器、コレクター商品などは、その代表例です。

また、eBay、Facebook Marketplace、OfferUp、Poshmarkなど、個人や小規模事業者が商品を販売できるオンラインの場も多くあります。そのため、最初は小規模に始め、反応を見ながら事業化していくことも可能です。

もっとも、継続的に販売する場合には、単なる個人間売買ではなく、ビジネスとして扱われる可能性があります。その場合には、カリフォルニア州法上の規制を確認する必要があります。

カリフォルニア州では、中古品を反復継続して、または営利目的で取り扱う場合、「Secondhand Dealer」としての登録やライセンスが問題になることがあります。

根拠となる規定の一つが、California Business and Professions Code section 21625 です。同条では、一定の中古品取引を行う事業者について、Secondhand Dealer としての規制が定められています。

たとえば、次のような場合には注意が必要です。

中古の家具、衣類、家電、楽器、ブランド品などを継続的に仕入れて販売する場合。

他人の商品を預かって委託販売する場合。

オークション形式で中古品を取り扱う場合。

eBayなどのオンラインプラットフォーム上で、継続的に中古品を販売する場合。

もちろん、すべての中古品販売が直ちにSecondhand Dealer規制の対象になるわけではありません。取り扱う商品の種類、販売頻度、仕入れ方法、販売形態、所在地の自治体のルールによって判断が変わります。

そのため、中古品販売を事業として行う場合には、まず自分のビジネスがSecondhand Dealer規制の対象になるかを確認することが重要です。

Secondhand Dealerとして扱われる場合、単に商品を販売すればよいというわけではありません。

カリフォルニア州法上、取引ごとに一定の情報を記録し、保存する義務が課されることがあります。Business and Professions Code section 21628 では、Secondhand Dealerによる記録義務について規定されています。

一般的には、次のような情報が問題になります。

商品を売却した人の氏名、住所、本人確認書類に関する情報。

商品の詳細な説明。

型番、シリアル番号、ブランド名、状態など、商品を特定するための情報。

取引日時。

取引価格。

場合によっては、司法省が認可した電子システムを通じて、取引情報を報告する必要があることもあります。

このような規制の目的は、盗品の流通を防ぐことにあります。中古品は、新品と異なり、仕入れ元や所有権の来歴が問題になりやすいためです。

特に、ブランド品、宝石、貴金属、電子機器、楽器、工具など、盗品として転売されやすい商品を扱う場合には、記録管理を軽く考えない方がよいです。

中古品販売で非常に重要なのが、商品の状態を正しく表示することです。

カリフォルニア州では、消費者に誤解を与える表示は禁止されています。Civil Code section 1770(a)(7) は、使用済み、再生品、修理済み、リファービッシュ品などである商品を、新品であるかのように表示する行為を禁止しています。

たとえば、実際にはリファービッシュ品であるにもかかわらず、単に「新品同様」とだけ表示して販売すると、問題になる可能性があります。

一方で、次のように商品の状態を具体的に説明していれば、消費者にとっても分かりやすく、トラブル防止につながります。

「メーカー再生品です。」

「外装に小さな傷があります。」

「動作確認済みですが、箱は付属しません。」

「中古品のため、通常使用に伴う使用感があります。」

中古品販売では、多少見栄えのよい表現をしたくなることもあります。しかし、商品の状態、使用歴、修理歴、欠品、傷、故障の有無などについては、できるだけ正確に説明するべきです。

後から返品、返金、詐欺的表示、消費者保護法違反などの問題に発展することを避けるためにも、表示の正確性は非常に重要です。

中古品といっても、すべての商品が同じ扱いになるわけではありません。商品カテゴリーによっては、特別な規制があります。

中古車

中古車販売については、通常の中古品よりもさらに厳しい規制があります。

カリフォルニア州の車両安全基準、排ガス規制、登録手続き、ディーラーライセンスなどを確認する必要があります。また、連邦法上、FTCのUsed Car Ruleに基づき、一定の場合にはBuyer’s Guideの表示義務も問題になります。

中古車販売を事業として行う場合には、一般的な中古品販売とは別に、車両販売業としての規制を確認する必要があります。

子供用品・リコール商品

ベビー用品、おもちゃ、子供用家具などを扱う場合には、リコール対象商品に注意が必要です。

カリフォルニア州では、リコール対象となっている一定の商品を販売することが禁止される場合があります。特に、乳幼児向けの商品は安全性の問題が大きいため、販売前にリコール情報を確認することが重要です。

貴金属・宝石

貴金属や宝石を扱う場合には、より厳格な記録義務や報告義務が課されることがあります。

Business and Professions Code section 21604 では、一定の取引について報告義務が定められています。金、銀、宝石、時計、ブランドジュエリーなどを取り扱う場合には、通常の中古品よりも慎重な対応が必要です。

寝具・家具

中古の寝具や家具についても、表示義務が問題になることがあります。

たとえば、使用済み素材を含む寝具などについては、「SECONDHAND MATERIAL」などの表示が必要になる場合があります。根拠規定としては、Business and Professions Code section 19071 などが関係します。

寝具やマットレスは衛生面の問題もあるため、販売前に表示義務や消毒、清掃、再販売の可否を確認することが重要です。

オンライン販売であれば規制が緩くなる、というわけではありません。

eBay、Facebook Marketplace、自社ECサイト、Shopify、Instagramなどを使って販売する場合でも、継続的に営利目的で販売していれば、ビジネスとして扱われる可能性があります。

また、オンライン販売では、個人情報の取り扱いにも注意が必要です。

購入者の氏名、住所、メールアドレス、電話番号、支払情報、配送先情報などを取得する場合には、プライバシーポリシーを整備する必要があります。ビジネスの規模や内容によっては、カリフォルニア州の個人情報保護法であるCCPA/CPRAへの対応が問題になることもあります。

さらに、サブスクリプション型で中古品を提供する場合や、定期購入・自動更新型のサービスを提供する場合には、Business and Professions Code section 17602 に基づく自動更新契約の表示義務にも注意が必要です。

自動更新条件、解約方法、更新時期、料金などは、消費者に分かりやすく表示する必要があります。

中古品であっても、販売事業者が商品を販売する場合には、売上税の問題が発生します。

カリフォルニア州では、商品の小売販売についてSales Taxが課されます。根拠規定としては、Revenue and Taxation Code section 6051 などがあります。

継続的に商品を販売する場合には、California Department of Tax and Fee Administration、いわゆるCDTFAからSeller’s Permitを取得する必要があります。Seller’s Permitに関する規定としては、Revenue and Taxation Code section 6066 などが関係します。

たとえ中古品であっても、販売事業として行うのであれば、売上税の徴収、申告、納付を検討しなければなりません。

オンラインプラットフォームを利用している場合、プラットフォーム側がMarketplace Facilitatorとして売上税を徴収・納付するケースもあります。ただし、それで常に販売者側の義務がすべてなくなるとは限りません。販売形態や販売先、プラットフォームの仕組みによって確認が必要です。

カリフォルニア州で中古品販売をビジネスとして始める場合、少なくとも次の点は確認しておくべきです。

まず、自分のビジネスがSecondhand Dealer規制の対象になるかを確認すること。

次に、販売する商品の種類ごとに、特別なライセンス、表示義務、報告義務がないかを確認すること。

また、仕入れ元の確認、取引記録の保存、本人確認の方法を整備すること。

さらに、商品説明において、中古品、リファービッシュ品、修理品、欠陥品であることを正確に表示すること。

そして、Seller’s Permit、売上税、プライバシーポリシー、利用規約など、オンライン販売に必要な基本的な体制を整えることも重要です。

中古品販売は、比較的小さく始めやすいビジネスです。しかし、扱う商品によっては、盗品規制、消費者保護、リコール、安全基準、税務など、さまざまな法律問題が関係します。

カリフォルニア州の中古品市場には、大きな可能性があります。

サステナブルな消費への関心、ヴィンテージ品への人気、オンラインマーケットプレイスの発展、日本の商品や品質への信頼などを考えると、日本人や日本企業にとっても参入しやすい分野の一つです。

一方で、中古品販売には、Secondhand Dealerとしての規制、記録保存義務、商品表示義務、売上税、商品ごとの特別規制など、注意すべき法律があります。

特に、継続的に販売する場合や、高額商品、ブランド品、貴金属、子供用品、寝具、中古車などを扱う場合には、事前に法的な確認を行うことをお勧めします。

法律を確認せずに販売を始めてしまうと、後からライセンス違反、表示義務違反、消費者トラブル、税務上の問題が発生する可能性があります。

中古品ビジネスを安心して始めるためには、最初の段階で、販売形態、取り扱う商品、必要な許認可、記録管理、税務対応を整理しておくことが重要です。

弊事務所では、カリフォルニア州で中古品販売を行う事業者向けに、ライセンス確認、契約書・利用規約の作成、プライバシーポリシー、売上税・事業形態に関する基本的な法務サポートを行っています。

中古品販売をビジネスとして始める予定がある場合には、実際に販売を開始する前に、一度ご相談いただくことをお勧めします※この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。具体的な判断については、弁護士等の専門家にご相談ください。

カリフォルニア拠点(サンフランシスコ、ベイエリア、ロサンゼルス)
カリフォルニア弁護士・日本弁護士
田中良和

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